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発信箱:再び抑止力=三森輝久(西部報道部)

 菅政権はどう答えるだろう。鳩山由紀夫前首相が自ら辞任理由に挙げた米軍普天間飛行場の移設だ。

 鳩山氏は「学べば学ぶにつけて」米軍の抑止力を重要と判断し、沖縄県内移設へと回帰した。これに反発した沖縄選出の社民党国対委員長、照屋寛徳氏が、鳩山氏の「抑止力」が具体的に何を意味し、県内移設でなければ抑止力が維持できないとする理由を質問主意書でただした。政府側が答弁書提出の予定を5月21日から1週間延ばしたことは5月25日付のこの欄で書いた。

 照屋氏側によると、政府は28日になっても答弁書を出せず、再延長は過去に例がないとして主意書の再提出を求めたという。辺野古移設を巡って福島瑞穂・社民党党首が消費者・少子化担当相を罷免された日。ドタバタもあって、照屋氏はやむなく再提出に応じ、答弁書は今月8日に出ることになった。鳩山政権は答弁書を出さないまま自壊したが、質問主意書は生きている。

 政府が答弁に困っているのは、問いが具体的だからだろう。照屋氏は在沖海兵隊が遠征する場合、長崎県・佐世保港に配備された米海軍揚陸艦部隊と行動をともにする点に注目し(1)海兵隊が必ずしも沖縄に駐留する必要はないのではないか(2)海兵隊の一体運用が不可欠なら、在沖海兵隊の県外移転を検討したのか(3)台湾や北朝鮮有事などの場合、揚陸艦部隊とは別に在沖海兵隊単独で行動するかもしれないが、出動目的は部隊規模や作戦能力から考えて米国人の保護救出にあり、日本の安全を守る抑止力とは関係ないのではないか--を聞いている。

 かつて普天間問題を解けない「4元方程式」と言った理系の菅直人首相。早々と日米合意踏襲を明言したが、辺野古移設の理由をどう説くか。大ざっぱにしか言わなかった鳩山氏も理系だったが。

毎日新聞 2010年6月8日 0時27分

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