マツダ工場暴走事件で、殺人未遂などの疑いで逮捕された引寺(ひきじ)利明容疑者(42)=広島市安佐南区上安2丁目=が、広島県警の捜査本部の調べに対し、「(犯行直前まで)迷いがあった」と供述していることが26日、捜査関係者への取材で分かった。
引寺容疑者は、これまでの調べに「東正門を入ったら、どうでもよくなった」とも供述しているという。捜査本部は、犯行に及ぶまでの心理状況の変化を慎重に調べている。一方、捜査当局は本格的な精神鑑定も検討している。
引寺容疑者が事件直前まで勤務していた広島市内の自動車部品製造会社などによると、引寺容疑者は事件前日の21日、残業を含め午後6時40分ごろまで勤務していた。
捜査本部の調べでは、勤務を終えた後、同市内のホームセンターへ行き、車に隠し持っていた包丁を購入したことも分かっている。
その後、同日午後10時40分ごろには同市内の実家に行き、翌22日午前1時ごろ知人宅を訪問。マツダ勤務時の悩みなどを切羽詰まった様子で打ち明け、その場を後にしたという。
捜査本部は26日、引寺容疑者が犯行に使ったとみられる車の検証をほぼ終えた。車体前部が大きく破損。左右のドアや屋根にも擦った跡はあったが、へこみはなかったという。車体から血液や繊維などを採取しており、鑑定して容疑を裏付ける。
また、車の助手席の足元からは包丁のケースが発見されており、引寺容疑者が、運転席のドアポケットに包丁を抜き身の状態で置いていた意図も調べる。
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