◆中日1−0広島
終わってみれば貴重な1点は本塁打でもタイムリー安打でもなかった。格好のいい点の取り方ではなかったが、得点を刻んだことに意味がある。大きな先制点をもたらしたのは森野だ。
「実は内野ゴロを狙っていたんですけど。とりあえずランナーをかえすことができてよかった」
状況を判断して仕事をこなしたのは1回。荒木の二塁打、藤井の二ゴロでつくった1死三塁のチャンス。内野を見渡せば定位置にいる。内野ゴロでも1点。だからあえてゴロを狙った。そして1ストライク1ボールからの3球目、外角直球を合わせるように振った打球は左翼へ。狙いとは違ったが飛距離十分の先制犠飛になった。
同じ失敗は繰り返さなかった。24日の横浜戦(ナゴヤドーム)、同じような1回1死三塁の場面で三振に倒れた。「あれがありましたからね。きょうは何とかしようと思っていた」。落合竜ではタイムリーによる1点も内野ゴロによる1点も同じ価値を持つ。反省を生かした1得点が結果的に決勝点になった。
守備でもスミ1勝利に貢献した。3回1死から広島・ジオの三塁線への打球を横っ跳び。素早く一塁に送球してピンチの芽をつんだ。その後も堅実に守った。5月まで10個の失策を記録していたが、6月に入って1個だけ。しかも課題だった送球ミスは5月12日のソフトバンク戦(ナゴヤドーム)以降、記録していない。「理由? 分からないよ」。こう苦笑いを浮かべたが、日々の送球練習の効果は出ている。
「欲を言えばもっと打たないといけないんだけどね。でも勝ててよかった」。自身も犠飛以降は2打数無安打、打線も計3安打では胸を張れないが勝つことで報われる。目下打線は6試合連続の1けた安打だが、頼れる選手会長が勝利を呼ぶ一打を刻んでいくはずだ。 (兼田康次)
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