2010年05月18日
日テレと電通・博報堂との取引額をグラフ化してみる
本来ならキー局すべてで同様のグラフ化ができれば良いのだが、大手広告代理店との取引額は、日本テレビ放送網しか公開していない(日テレは情報公開という観点で賛美されるべき)。過去の短信を再確認し、掲載がスタートした2004年3月期(2003年4月〜2004年3月)以降のデータをグラフ化する。
まずは金額ベース。名前が示す通り、広告代理店は広告を販売する際の代理業を営んでいる。今件ならば「日テレが放送しているテレビ番組や番組間のテレビCM枠」の販売について仲介を行い、テレビ局と各広告出稿社との間を取り持つ役割を果たしている。野菜に例えるなら、農家と消費者の間に立つ八百屋さんのようなもの。
↑ 日本テレビ放送網における主な相手先の販売実績(億円)
2004年3月期から2005年3月期にかけて博報堂が大きく値を上げているが、これは博報堂が大広や読売広告社と共に持ち株会社を作り、その持ち株会社の数字を採用するようになったから。ともあれ金額的には2005年3月期をピークに
・電通……漸減、2009年3月期以降は大幅減少
・博報堂……2008年3月期までは横ばい〜微増、2009年3月期以降は大幅減少
の傾向にある。毎月報告している両者の前年同月比の営業成績(直近は【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2010年4月分)】と比較すると、テレビ放送のCM枠の販売額減少が「数%」でしかなくとも、絶対金額では大きな値になることが改めて認識でき、興味深い。
もう一つは、日テレの販売実績における両社の占める割合。販売代理をお願いしている各種商品(CM枠など)の総額のうち、どこまでを電通や博報堂に頼っているのかを示すものだが、両社で過半数に達しているのが分かる。
↑ 日本テレビ放送網における主な相手先の販売実績(全体に占める割合)
2004年3月期から2005年3月期における博報堂の上昇理由は上記にある通り。ともあれ、少なくとも日テレにおいては、電通のシェアはほんの少しずつではあるが漸減しているのが確認できる。「その他」の代理店(直売も含むのだろう)がそれに取って代わっていると思われる。
他局の公開データは無いが、恐らくはほぼ同じような比率を示していると考えて良い。電通の圧倒的な販売力、そして電通・博報堂両社でテレビ局の放送事業を含めた全事業の売上のかなりの部分(日テレは過半数)をまかなっているのが再確認できた。
テレビ局の番組の不振(視聴率、そして媒体力の低下)は販売商品の商品価値の低下をもたらし、それは実際に販売する広告代理店の業績にも大きな影響を与える。色々な意味でテレビ局と広告代理店が一蓮托生なのがあらためて認識できよう。
■関連記事:
【電通と博報堂の種目別売上高前年同月比をグラフ化してみる(2010年4月分)】
【主要テレビ局銘柄の直近決算をグラフ化してみる(2010年3月期)】
これらの書籍が参考になります
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