奈良・コナベ古墳
古墳レーザーで丸裸…上空から計測3次元画像 橿考研など
墳丘の形状くっきり
(右)上空から見たコナベ古墳(左)3段に築造された墳丘の様子などがくっきりと浮かぶ立体画像(いずれも奈良県立橿原考古学研究所提供)
奈良県立橿原考古学研究所と測量会社「アジア航測」(本社・東京)は、宮内庁管理の陵墓参考地で奈良市の「コナベ古墳」(5世紀前半)と、堺市の「御廟山古墳」(5世紀中頃)で航空レーザー計測による3次元画像を作製し、26日に大阪府吹田市の関西大で開かれた日本文化財科学会で報告した。立ち入り制限が厳しい陵墓などの精密な墳形がわかり、「大型古墳を研究する上で画期的な手法」としている。
上空からレーザー光を照射し、地表の様子を測るシステムで、活断層調査などにも使われている。レーザー光は樹木の葉のすき間から地盤に当たり、木が生い茂っていても利用できる。昨年12月と今年2月、全長約200メートルの両古墳を計測。上空500〜650メートルからコナベ古墳は約100万点、御廟山古墳は約300万点のデータを画像化した。
例えばコナベ古墳の処理後の画像では、鍵穴のような前方後円墳の形状や3段に築造された墳丘の様子がわかるほか、前方部の両脇にせり出した、埴輪などを並べる「造り出し」もくっきりと浮かび上がった。
陵墓関係の資料は、戦前の測量図など数少なく、同研究所の西藤清秀・埋蔵文化財部長は「築造当時に近い姿が再現でき、その美しさもわかる」としている。
(2010年6月27日 読売新聞)