タイトルに意味はありません。
これは、ドラゴンボールの二次と言いつつも、改変されまくってドラゴンボールキャラと名前が同じなだけになったオリキャラしか出てこない話です。
性別まで、違っているキャラまでいます。
その辺りを了承して読んでいただけるとありがたいです。
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俺たちサイヤ人は、環境のいい星を見つけると、そこに住む人間を滅ぼして、適当な惑星を求めている別の宇宙人に売る事を生業としている。
そのこと自体には不満はないし、戦闘民族であるサイヤ人の俺は楽しんでいるとさえ言える。
しかし、長く続けていれば、小さな不満は溜まるものであるらしい。
「どうだった?」
そんなことを聞いてくる無駄に頭髪の長い男、俺とおなじくサイヤ人であるラディッツに首を振ってやると、そいつは気落ちしたように俯いてしまう。
うっとおしい奴だとは思うが、口に出すと更に落ち込んで面倒臭いことになるので、黙っていると今度は別の奴が声をかけてきた。
「まったく、フリーザ様は何を考えてるんでしょうな。この仕事をたった三人でやっているのは、俺たちくらいのもんだってのに」
「まあな」
禿頭の男、ナッパの言葉に首を縦に振って同意する。
この仕事は、宇宙の帝王を自称するフリーザの配下の宇宙人たちで、チームを組んでやることになっている。
なぜかと言えば、俺たちの仕事は、そこに住む住人を皆殺しにさえすれば、なんでもいいというわけではないのだ。
俺くらいになると、惑星そのものを一撃で破壊してそこに住むものを全滅させることも簡単だが、当然そんなことをしてしまっては仕事にならない。
それと同じで、そこに住む奴らを一度に倒そうとして惑星に大きな被害を与えてしまうような攻撃をしてしまっては価値が下がってしまう。
そういうわけで、この仕事は人手が多いほうがやりやすく、十数人か数十人でチームを組むのが普通であるはずなんだが、どういうわけか俺たちはサイヤ人三人だけのチームである。
人員不足の時のために、フリーザ軍には、サイバイマンという土に埋めた種から生まれてくる便利な兵士も存在するが、使い捨ての消耗品であることと便利すぎるのとで消費が激しいため、有料でかつ購入はお一人様一瓶までとかの規則があったりもして、手持ちが残り少ない。
具体的に言うと、残り六つ。
そんな事情があるから、人員を増やしてほしいとフリーザに直訴してみたのだが、結果は断られたというわけである。
◆
「いい加減、俺たちのチームに人を増やしたいんだが、どうにかならないのか?」
そんな俺の言葉にフリーザ──どういう原理か知らないが、空中にふよふよと浮かんでいる座布団に正座したチビ──が、ズズッとお茶を飲みながらつまらなそうな表情になる。
こんな吹けば飛びそうな奴が、サイヤ人最強の戦士の俺ですら足元にも及ばない超存在だというのだから理不尽な話だ。
「なにを言うかと思えば、それが無理なことは、あなたが一番わかっているはずでしょう?」
「なにが無理だって?」
「べジータ王の反乱ですよ」
「……」
「あの時、彼とその意を受けたサイヤ人によって、多くの戦士が命を落としました。当のサイヤ人にいたっては半数近くが命を落としたほどです。この状況で、あなたたちのチームに人員を回す余裕があるとでも?」
それを言われると弱い。
父が何を考えてフリーザに反乱なんかを企んだのかは知らないが、あの事件が理由で、一歩間違えればフリーザはサイヤ人を全滅させる決定をしていたという話だ。
そこを自重してくれただけでも、このチビには感謝しなくてはならない理由がサイヤ人側にはある。
まして、普通に考えれば父のやったことに無関係であるはずのない俺を許し、飼い殺しのような扱いとはいえ、自由にさせてくれていることには感謝こそすれ不満を言うべきではないのかもしれない。
だが、
「24年も前の事件だ。もう、あの時に消耗した人員も回復しているだろうが」
「人数だけならね」
よく見せる、この思わせぶりな、ニヤリとしたフリーザの顔が俺は好きではない。
「ですが、サイヤ人の人数はまったく増えていないというのが現状です」
それは、父の反乱の残した傷跡と言うべき実状である。
同族愛などというものとは無縁の俺たちサイヤ人ではあるが、この件に関しては失った命たちを惜しまずにはいられない。
なぜかと言えば、あのときにサイヤ人の女は絶滅してしまったからである。
サイヤ人の生き残りが、たった一人だろうが数万人だろうが、男しか残っていなければ滅んだも同然だ。
もう子孫を残すことは叶わないのだから。
「それとも、別の種族との間に子供を作って数を増やしてみますか? それなら協力してあげてもかまいませんよ」
そう言うと、フリーザは自分の顔に手をかけ上に引っ張る。
こいつのことをよく知らない者が見れば何をやっているのかと疑問に思うところだろうが、俺はそうではない。
いや、何故このタイミングでとは思うが。
引っ張られた顔は、そのまますっぽりと抜け、その下から肩まで伸ばした金髪がこぼれる。
「なんなら、わたしとの間に子供を作ってみますか?」
ニヤニヤと笑い、ついで手袋を脱いで、暑かったらしくほんのりと桜色に染まった白い手なんかを見せながらのチビ、サイヤ人なら十歳にも届かない年齢に見える小娘の言葉に、俺は沈黙するしかない。
宇宙の帝王を名乗り、惑星の地上げ屋などというヤクザな仕事をしているこいつは取引先の相手に舐められないようにと、異形の異星人を模したマスクやら手袋をつけて声まで変えて正体を隠していたりするのだが、その正体は俺たちサイヤ人と似たタイプの容姿をした宇宙人だったりするのだ。
この見た目で、俺の父親よりずっと年上だという辺り、それほど近い種族ではないのだろうが。
ちなみに、この事実はフリーザ軍内でも、あまり知られていない。
それはさておき、このフリーザというガキは、さっきも言ったように、こんな見た目でも俺よりもずっと長い年月を生きているだけに、その気になれば子供だって産める年齢ではあるらしい。
しかしだ。向こうは良くても俺は良くない。
別の種族との間に子供を作ることに禁忌があるわけではないが、こんな生理も来ていないようなガキの姿の相手に子作りに励めるような趣味は持っていないのだ。
まあ、宇宙の帝王を自称するフリーザが、本気でサイヤ人との間に子を作ろうと考えているはずもないわけだが。
「冗談は置いといて、他の奴らは十人以上のチームを組んでるだろ。そいつらから、三人しかいない俺たちに一人くらい回してくれてもいいんじゃないか?」
正論であるはずの俺の言葉に、なぜかフリーザはムッとした顔になる。
「あなたが、べジータ王の息子である限り、それは無理ですね」
「何故だ?」
「サイヤ人の多くが、先のべジータ王の反乱への不満がまだ消えてないからですよ。ただ数が減っただけならともかく、女がいなくなったというのはどうもね。それをやった私への不満も相当なものですが、原因の方に怒りが向かうのも仕方がないでしょう」
だから、俺たちのチームに入りたがるサイヤ人はいないと言いたいらしい。だが、
「別に、サイヤ人でなくてもいいんだがな。必要なのは人手なんだから」
「なおさらダメですね。あなたたちサイヤ人が本領を発揮するのは月を見て大猿になったときでしょう? 私の配下の戦士たちは全宇宙から集められた強者たちですが、それでも大猿になったサイヤ人の攻撃に巻き込まれても生きていられるような者は十人といません。そんな希少な戦士を、あなたのチームに入れられるはずがないではありませんか」
◆
「というわけだ」
長々と説明をしてやると、ナッパとラディッツは、納得はできないのだろうが理解は出来てしまったらしく沈黙する。
思えば、この二人も奇特な奴らだ。
父のことが理由で、俺を嫌っている奴は、サイヤ人にもそれ以外にも多い。
おかげで、俺とチームを組んでいるというだけでいろんな奴らに睨まれるのだ。
それなのに、この二人は俺に恨み言を言うでもなく、当たり前の顔をしてチームを組んでくれているのだ。
まあ、ナッパはともかく弱虫ラディッツは、今更抜けても他のチームに入れてもらえる自信がないだけなんだろう。
元々ナッパと俺の二人だけだったチームに入る前は便所に隠れて飯を食ってるような奴だったし。
なんにしろ、このまま三人で続けなければならないというのは気の重くなる話ではある。
なにしろ、俺たちのチームは三人と言う人数の少なさ以外にも戦闘力のバランスが悪いと言う問題もあるのだ。
サイヤ人最強であり、フリーザ軍全体を見渡しても10人かそこらしかいない一万越えの戦闘力を持つ俺と、下級戦士でしかないラディッツでは十倍もの戦闘力の開きがある。
闘争を好むサイヤ人の本能により、ラディッツに適正な戦闘力の宇宙人が住む惑星に攻め込む場合は、俺には物足りなくてストレスが溜まるが、俺に適正な戦闘力の宇宙人の住む惑星に攻め込んだのではラディッツが生き残れない。
それで、俺のやる気が出ないでいると、ラディッツとナッパだけで働くことになってしまい、二人のやる気も削がれてしまうわけである。
困ったものだなと思っていると、不意にラディッツが何かを思いついたように顔を上げる。
「そうだ、カカロットがいた」
誰だよそれは?
そう思って聞いてみた俺に、赤ん坊の頃に、ある惑星を攻めるために送り出されたサイヤ人だとラディッツは答えた。
「べジータ王の反乱当時に赤ん坊だったあいつなら、べジータに悪感情も持ってないだろうし、一人で送られたからチームを組んでもいない。問題なく俺たちの仲間に入れられるぞ」
「ちょっと、待った。そんな昔に送られたのに未だに帰ってこないって、惑星一つ攻め落とすのに何十年かかってるんだ?」
「そういえば……」
ナッパの突っ込みに、呟いて俺に顔を向けてくるラディッツ。
ていうか、俺に助けを求めるな。そんなもん、俺が聞きたいわ。
「いや、きっと何かやむにやまれぬ事情があるんだろう。助けてやる意味でも、ちょっと迎えに行ってくる。待ってろよ、カカロット。今兄ちゃんが助けてやるからな」
そう宣言したラディッツは個人用宇宙船に乗り込み、カカロットが送られたという惑星、地球に向かった。
この時、俺には何かの予感があった。
自分が、何か取り返しのつかない見落としをしているのではないかという嫌な予感が。
まあ、だからといって今更ラディッツを追って地球に行くわけにもいかない。
ラディッツがカカロットを連れて帰ってきたら、四人で攻めるのにちょうどいい惑星を見つけておかなければならないことだし、そちらの仕事はナッパに任せて、体が鈍らないようにトレーニングルームを使用する毎日を送る俺であった。
◆
ラディッツが地球に行ってしばらく経ったある日のことである。
「よう、べジータじゃないか」
呼ばれて、声の方に顔を向けると、そこにはクレーターだらけの衛星のような肌をして、下顎からはナマズの髭のようなものを生やした奇怪な顔の宇宙人がいた。
「なんだ、キュイか。何の用だ?」
当たり前の問いかけに、なぜだかキュイは苛立ちを顔に浮かべて言ってくる。
「へっ、いつも雑魚ばかり相手にしてるお前の体が鈍ってないか、宿命のライバルの俺が確認してやろうかって思ったんでな」
嫌みったらしく、そんなことを言ってくるこいつのことを、俺は嫌いではない。別に好きでもないが。
なんと言うか、滑稽なのだ。
俺のライバルを名乗るだけあって、こいつもフリーザ軍で十本の指に入る実力者であり、その戦闘力の数値は俺と互角の値を維持しているが、本気でやりあえば互角の戦いになどなりえないことを俺は確信している。
そもそも、スカウターなどで表される数値には、戦闘の技術やセンスが反映されない。
ただでさえ、独特の戦闘センスを持つサイヤ人である上に、雑魚を相手にしたものがほとんどであるとはいえ、多くの実戦経験を持つ俺が、命のやり取りをすることのないトレーニングばかりで戦闘力を維持しているキュイとライバルであるなどということはありえないのである。
とはいえ、そんなことを言ってみて納得する相手ではないし、ラディッツにも劣る程度の雑魚ばかりを相手にするのも食傷していたことではある。
戦闘力だけなら互角であるのも事実であることだし、組み手の相手を頼んでみるのも悪くはない。
「なら、ライバルに少し相手をしてもらおうかな」
「へっ、今日こそ決着をつけてやるよ」
俺の言葉に、キュイは拳を握り、構えをとる。
ちなみに、俺たち二人のこれまでの戦績は、50戦して、俺の勝ちが49回、キュイの勝ちが0回、引き分けが1回だ。
これで、いまだにライバルを名乗れる辺りの根性は大したものだ。
「くらいな!」
叫びと共に放たれるエネルギー弾を、俺は左手ではじく。
戦闘力は高いだけあって、はじいた左手に痺れを残す強力な一撃ではあったが、駆け引きもなく放たれたそれは必殺には遠く、むしろ放った本人に隙を作るだけの愚作である。
ここで、一気に詰め寄れば即座に決着をつけることが可能であり、実際にそうした俺だが、この一撃で終わらせる気はない。
これは真剣勝負などではないトレーニングであり、めったにない同格の戦闘力を持った相手との組み手である。簡単に終わらせるなどというもったいないことが出来るはずがないではないか。
だから、接近と共に放つは痺れの残った左手による突き上げるような一撃。
当然、キュイはそれを上体を後ろに逸らすことで回避し、空振った左手は、ぐにゃりとした何かに当たる。
ん? ぐにゃり?
脳裏に浮かんだ疑問は、しかし俺の体を止めることはなく、なぜだか動きを止めたキュイの顔面に右の拳を叩き込もうと突き入れられ。
いや、顔面にまともにぶち込むのは拙いだろう死ぬし、という理性の声による制止を受け微妙に軌道を変えて、キュイの顔をかすめるというか引っ掛けてその顔を弾き飛ばす。
そして、先ほどまでクレーターのような顔があったキュイの首の上には、黒い髪を肩のところで切りそろえたおかっぱ頭の15~16歳に見える少女の顔があって、そいつは胸を隠すように両手を組み、顔を赤らめてこっちを見ていた。
ああ、そういえばコイツもフリーザと同じで迫力をつけるためにマスクかぶって、声から口調まで変えて偽装してる奴だったなとか思ってると、急にこっちを睨みつけてきた。
「エッチ!」
言うに事欠いて、エッチとはなんだ?
「組み手のフリして、胸を触るなんて。このムッツリスケベ!」
「フリじゃねえよ。大体、いつもはサラシを巻いてるくせに、何で今日はつけてないんだ!」
「忘れてたのよ!」
「なんで、そんなものを忘れるんだ!」
そんな、大きい肉の塊をぶら下げてて、気づかないなんてありえないだろうが。気づかずに組み手をやってた俺も大概だが。
言ってやったら、急に口ごもりやがった。
「それは……」
なにやら、小さな声で「べジータが、珍しくこの星にいるって聞いたから慌ててて」とかなんとかブツブツ言い訳をしているが意味がわからん。
とか思っていたら、またこっちを睨みつけてきやがった。
「それなら、教えてくれたっていいでしょ。なんで、そのまま組み手して胸触るのよ」
「気づいてなかったんだよ。悪かったな」
「なに、それって、わたしの胸が小さいって言いたいの!」
「言ってないし、小さいとも思ってねえよ。むしろ大きすぎだろ。お前の胸が人並みの大きさなら、最初のパンチは当たってねえよ」
言ってやったら、キュイの顔は更に赤くなって、もうゆでだこか? というくらいになる。
「バカ! もう死んじゃえ!」
ついには、そんなことを言って走り去るキュイ。
なんだよ。俺が何かしたってのかよ? というか、なんでトレーニングルームにいる他の奴らまで俺を白い目で見てやがる。
なんだか知らないが、いたたまれない気持ちでトレーニングを続けていると、慌てた様子でナッパが走りこんできた。仕事はどうした?
「親分てえへんだ!」
誰が親分だ。
「ラディッツが! ラディッツが!」
「ラディッツがどうした!?」
あいつが地球に向かった時の嫌な予感が蘇る。
だけど、そんな感情は手遅れだと言うようにナッパは言葉を続けた。
それは、つまり奴が還らぬ人になっていたという話であり……、
などということもなく、普通に帰って来ていて、ナッパに続いてトレーニングルームに入ってきた。
「うわーん、ベジえもん。カカロットに苛められたよー」
「誰がベジえもんだ。というか、どうしてそうなった?」
聞いてみると、なんでもカカロットは地球で記憶喪失になって、仕事のことなんか忘れて向こうで結婚して子供も出来たから、俺たちの所に帰る気がないとのこと。
しかし、諦められなかったラディッツは、カカロットの息子を人質にとって「一緒に来い! そして、俺をお兄様と呼べ!」と強要したら、色々あって最終的に三人がかりでフルボッコにされて泣きながら帰ってきたらしい。
「……どこから、突っ込んだらいいんだ?」
「ラディッツがボコられた辺りじゃないですかね。俺たちから見れば雑魚もいいとこというか、戦闘力だけで見たら消耗品戦士のサイバイマンでも匹敵してしまうとかどうよとか、色々言いたくなる弱虫ラディッツとはいえ、赤ん坊を一人送り込めば済むと判断されるような惑星で育ったような奴とその仲間に負けるというのも考えにくい話ですし」
なるほど、事務仕事全部を押し付けてるだけに、頭の回転が俺よりも速いなナッパ。
そのせいで、エリートの生まれのわりに戦闘力が低めだけど、これからも事務仕事を頑張ってくれ。
「今、何か考えやしたか?」
「いや、別に。それで、ラディッツ。どうしてカカロットごときにボコられることになったんだ?」
「それが聞くも涙、語るも涙の話せば長い単行本42巻くらいの物語。完全版なら34巻でアニメなら全508話にスペシャルが2話に劇場版17本、実写映画もあるという壮大さ……」
「三行以内で話せ」
「……カカロットの息子がガキの癖にサイバイマン並みに強かった。
油断してて、ガキの一撃をもろに腹に食らった。
悶絶して動けないでいたところに、カカロットと、もう一人同じくらいの戦闘力の奴にボコにされた」
なるほど。
つまり、ラディッツはカカロットではなく、その息子にやられたわけか。しかし……、
「サイバイマン並み程度の奴に負けてどうする」
「いや、突っ込む所はそこじゃねえでしょう」
違うのかナッパ?
「ここは、ろくに外敵もいないような星で育ったガキが、俺たちサイヤ人のエリートと比べても年齢からは考えられないくらいの戦闘力を持ってること突っ込むべきでさあ」
「そうなのか? 前に、赤ん坊の癖に戦闘力一万ある子供が生まれたことがあるって聞いたことがあるんだが、それに比べると低い方じゃないか?」
「そういう都市伝説は忘れてください。というか、そんな奴が実在してたらベジータがサイヤ人最強を名乗ってられるわけがないでしょうが」
言われてみれば、赤ん坊で一万もいってたら成長すれば現在の俺の二万近い程度の戦闘力くらい抜かされてるはずだな。都市伝説だったのか。そうか……。
「何、遠い目をしてるんですか?」
「いや、なんでもない。それで、ラディッツは俺たちにどうして欲しいんだ?」
「仕返ししたいから手伝ってくれ」
「俺たちに、わざわざ地球まで行って、強くてもサイバイマンレベルの雑魚をボコれってか?」
半眼で睨んでやったら、涙目になりやがる。
「しょうがないだろ。今度はもっと強い奴を連れてきて仕返ししてやるって、カカロットに言っちゃったんだよ」
このラディ太め。口を開くときは、もっと考えてものを言え。
「しかし、まあいいか」
「行くんですかい?」
「ああ。考えてみれば、ガキの癖にサイバイマンと互角の戦闘力のサイヤ人とか優良物件ほっとく手はないだろ。人手不足のウチのチームの現状を考えれば」」
「なるほど。それに地球人との間には高い戦闘力を持った子供が生まれるとも考えられますし、嫁不足の俺たちサイヤ人にはいい土産話を持ち帰れそうですからね」
「それは、やめとこう。戦闘民族サイヤ人が集団レイパーになるとか情けない話は聞きたくない」
「宇宙の地上げ屋をやってる時点で、今更な気がしやすが」
「言うな」
かくして、俺たちは地球に向かうことになった。
そして、その選択を後悔することになるのには、少しの時間を必要とした。