力士ら硬い表情で名古屋入り

　野球賭博問題で揺れた大相撲の力士らが２７日、名古屋入りした。初日まで２週間。親方らへの厳しい処分を前提に、名古屋場所は開催される見通しとなった。「頑張れ」「疑惑解明が先決」。ファンの思いは割れた。

　力士ら約２００人が乗った新幹線が午後３時２０分ごろ、ＪＲ名古屋駅に着いた。報道陣に囲まれ、一様に硬い表情。ある幕下力士は「賭博をやった人たちの処罰は仕方ないが、名古屋場所は開催してほしい」と険しい表情で語った。

　北の湖部屋は名古屋市に宿舎を置いた。暴力団組員の観戦問題で処分を受けた木瀬親方は「何も話すことはありません」と厳しい顔だった。

　時津風部屋の宿舎（愛知県犬山市）では豊ノ島関ののぼりが何者かに破られ、警察官が慌ただしく出入り。元後援会員（５４）は「いたずらは野球賭博に関係があるのだろうか」と不安そう。

　「後援会関係者以外の見学は遠慮してください」。境川部屋の宿舎（同県扶桑町）では壁にこう張り紙されていた。

　阿武松部屋（同県尾張旭市）の宿舎を訪れた女性（３２）は「けいこの後に話し掛けてくれたり、みんな優しい印象。相撲で頑張ってる姿を見せるのがファンに報いる方法と思う」と涙ぐんだ。

　相撲ファンの会社員酒井満さん（４４）は名古屋駅で「場所の開催を見送ってでも、早く賭博の疑惑を解明すべきだ。まずはファンに説明する責任がある」と憤った。