加藤被告について語る大友秀逸さん(左)と湯浅洋さん=26日午後5時30分、東京都千代田区、山田写す
僕の知っている彼はまじめで前向きだった――。17人が死傷した東京・秋葉原の無差別殺傷事件から2年。殺人などの罪に問われている被告の友人が26日、事件を風化させまいと、親しかったころの被告の素顔を市民講座で語った。
NPO団体が主催する講座で話したのは、元派遣社員加藤智大(ともひろ)被告(27)の友人で、会社員の大友秀逸(しゅういつ)さん(34)。加藤被告が2003年から05年まで勤めた仙台市の警備会社の同僚だった。2人とも青森出身で、一緒に通勤し、毎晩のように夕飯を食べた。加藤被告が埼玉県の自動車工場へ転勤した後も、06年春ごろまでは連絡を取り合っていた。
加藤被告が職場で100人の警備員を現場に配置する責任者だったことや、自宅にこもって一日中、同じゲームをやり続ける凝り性な一面もあったことなどを紹介。「彼は冷静で知的なごく普通の人。彼が真実を語ってくれるのを待ちたい」と話した。
被告の知人として、これまで何をどう語ればいいのかわからなかった。だが、事件で重傷を負った湯浅洋さん(56)がその体験を語り、「被告のことを知りたい」と訴えていることを知った。湯浅さんに連絡をとり、この日の講座が実現した。
「社会が事件や被告のことを考え続けてほしい。だから、今後も自分たちが知っている真実を語っていきたい」。大友さんと湯浅さんの共通した思いだ。(山田優)