神戸地裁社支部の裁判官の発言が波紋を呼んでいる。3月に行われた「グレーゾーン金利」をめぐる民事訴訟の判決で、グレーゾーン金利分を過払い金として返還するよう貸金業者に命じる判決が全国で相次いでいる現状を「司法ファッショだ」と指摘したのだ。
貸金業法の「みなし弁済規程」が条件次第でグレーゾーン金利を認めていたことにも言及し、「06年1月の最高裁判決で(みなし弁済規程の)適用が急に厳格になった」とも指摘した。
この発言に対する専門家の賛否は割れている。「時代に逆行している」などと批判する人もいれば、「借り手側ばかりを保護するのはいかがなものか」と擁護する人もいる。
利益を求め過ぎた貸金業者と、借りた金の利息に利息を付けて返せという借り手。裁判官の発言の是非はともかく、「人間とは、かくも強欲なものなのか」と心が重くなった。【山川淳平】
〔播磨・姫路版〕
毎日新聞 2010年6月27日 地方版