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FAQ
「鉛筆」関するご質問にお答えいたします。下記から質問項目をお選びください。
鉛筆
取扱・使用上のご質問
1. 鉛筆をなめても平気?
重金属等の有害物質は鉛筆の芯にも色鉛筆の芯にも入っていないのでなめても安全です。
鉛筆をかじる人も最近は少ないですが、塗料にも配慮しておりますのでかじっても安全です。但し、筆記、描画以外の用途には使用しないでください。
昔の鉛筆は薄くて粗悪な物があり、なめると書き味がしっとりとして濃く書けたので、鉛筆をなめる人がいたようです。墨芯をなめる事に関しては、芯を焼いた後にラードなどの油を染み込ませる浸油工程を経ているので、なめても濃くならず、現在ではあまり意味がありません。
2. ナイフで鉛筆を削るコツ
芯は陶器と同じ一種のセラミックスですから、大変に硬く、どんな金属でもまともに削ると刃が欠けてしまいます。今の所、硬い鉛筆を刃が欠けずに削れるナイフはありません。刃をなるべく痛めないで削るには、刃の前の方を使って先に木のみを削っておき、それから刃の元の方を使って刃を立てぎみにして芯を削ると良いようです。
指の使い方のポイントは、鉛筆を持った手の親指の使い方にあります。刃をななめにしながら刃の後ろを押す様にするとうまく削れます。
よく芯を刃先でそぎながら仕上げる人がいますが、これは芯で刃を削っているような物で、一度でその部分の刃が欠けてしまいます。
軸も芯も腐ることはありませんが、湿気を嫌うことは確かです。保存状態が良ければ良いほど、半永久的に使用可能です。
久能山にある日本最古の鉛筆は、約400年前に作られた物ですが、いまだに書く事ができるようです。
4. 芯が折れてしまいます。
通常の鉛筆の芯は、折れることはそれほどありません。陶器などの焼き物と同じで、強くできています。ところが、色鉛筆の芯は水溶性の接着剤で固めただけなので、空気中の湿気の影響を受けて、折れやすくなることがあります。梅雨時はその影響が大きいようです。
通常の使い方をしていて鉛筆の芯がよく折れる場合は弊社お客様相談室までご連絡ください。
色芯の材料には、ワックス類が多く含まれています。書いた部分が白くなるのは、ワックス分が表面に押し出されて細かいワックスの粒ができるからです。ワックスは表面に出る方が自然なのです。色芯の表面が時間の経過とともに白くなるのも、同じ理由です。水性にはなじめないワックスの宿命かも知れません。
鉛筆の筆記原理は、筆記すると芯が紙の表面で削られて黒い粉が紙の上に付着し、筆跡として残るということです。芯の粉が紙の上に乗っているだけなので消しゴムで消すこともできますが、擦ると芯の粉が周りに広がり、汚れてしまうことがありますのでご注意ください。
材料・原料について
1. 鉛筆に鉛は入っている?
鉛は含まれていません。
芯は、黒鉛と粘土で出来ています。黒鉛は、炭素でできていて石炭やダイヤモンドの仲間(同素体)です。また表面の塗料にも鉛は含まれていません。
2. 鉛筆の塗料
一般の鉛筆には、油性塗料が使われています。木の表面を平らにする下塗り塗料、色をつける中塗り、表面の艶を出すクリアーなどを使って6〜7回塗り重ねて仕上げます。「木物語」では、木の風合いを大切にするため色をつけず、環境に配慮して水性塗料を使っています。
3. 鉛筆の芯に使う黒鉛
黒鉛(グラファイトgraphite)は、石墨ともいわれダイヤモンドや石炭の仲間(同素体)として天然に産出します。同じ仲間の石炭とは異なり、層状構造をしていて層間が滑りやすく、これが筆記時の滑らかさを与える要因となっています。鉛筆用の黒鉛は、その外観から鱗状黒鉛と土状黒鉛に大別され、色は少し鉛色がかっています。滑らかさが出やすい鱗状黒鉛と黒さが出やすい土壌黒鉛をバランスよく配合しています。これらは天然鉱物で、主に中国から輸入しています。木物語では、リサイクル黒鉛(黒鉛製品の粉砕品や高炉副生黒鉛など)を使用しています。
4. 鉛筆の芯に使う粘土
鉛筆には、ドイツ産の粘土を使用しています。日本でも粘土は取れますが、鉛筆芯の成形に適した可塑性があり、比較的低い温度で結晶化が進み、強さ等の物性が向上し、硅石等の不純物を含まない等の理由から、ドイツ粘土が鉛筆には最適です。
5. 鉛筆に使う木
鉛筆には北米産のインセンスシダー(ヒノキ科)を使っています。
木は自然循環型資源で環境にやさしい材料です。鉛筆に使われる木も植林を行って十分に管理されています。また、鉛筆に使われる木は建築材料になれない軟質の木ですから、他の用途には使うことができません。
6. 色鉛筆の芯の成分
色鉛筆の芯は、着色・体質顔料とワックスで出来ています。成分から見ると、油性です。色鉛筆で絵を描いた後に石鹸を溶かした水を絵筆に含ませて擦ると、わずかに溶けてぼかすことも出来ます。
鉛筆についての雑学
1. 芯の硬度・濃度とは?
鉛筆の芯の濃さと硬さを表す6Bから9Hまでの記号をいいます。鉛筆の芯は、黒鉛と粘土の割合によって、硬いものから軟らかいものまであり、例えばHBでは黒鉛65%に対して、粘土35%です。
芯の硬度は6Bから9Hまで17種類あり、硬い芯はHardの頭文字Hを使い、軟らかい芯はBlack の頭文字Bで表されます。その中間にFがありますが、これはFirm(ひきしまった)の頭文字を使っています。
日本工業規格(JIS)では、HBなどを硬度記号と言わず濃度記号と言っています。しかし歴史的に表面強度の引っ掻き強さの基準として、鉛筆が使われていました。この事からも、一般的には硬度と言う表現が適していると考えられています。
JISでは一定の条件下で筆記した時の反射率がHBで0.30〜0.47と規定されていて、それ以外はHBを基準にして上下の硬度がそれぞれ逆転しなければ良いとされています。濃度と言うのは反射のしにくさを表しているので、反射率が小さいほど濃度が高いと言えます。当社のHBの基準はJISよりも厳しく、0.30〜0.38となっています。このような濃さをあらわすことを最初に考えた人は、フランスのコンテで、14種類の濃さの芯を作って呼び方を決めていました。
3. 色鉛筆の種類について
色鉛筆を形状から分けると木軸・紙巻・軸全体が芯になっているものに分けられます。
木軸色鉛筆は、ごく一般的な色鉛筆ですが、この中にも軟質、硬質の2種があります。軟質のものはソフト色鉛筆と呼ばれ、芯をソフトタッチにしたもので、着色性も良くお子さん向けといわれています。硬質は芯を硬く緻密にしたもので、グラフ・図面の書き込み用に適しています。
紙巻色鉛筆は、芯そのものはごく軟質で細い線は描きにくいのですが、ガラス、プラスチック、金属などに自由に書けるものです。鉛筆削りやカッターが要らない便利さもあります。軸全体が芯になったものは画材用に適しています。
ヨーロッパやアメリカでは硬度を1,2,3で表していたことがありました。1がH、2がHB、3がBに相当します。現在はH、HB、Bといった表現方法になっています。
5. 鉛筆の価格差
鉛筆に価格差があるのはまず、芯の違いによります。
芯の違いは主に黒鉛や粘土の粒度、つまり細かさによります。書き易さ・折れにくさ・筆跡能力に差があります。
木の質も違います。削った時の削りやすさが第一で、書き心地、美しさにも違いがあるのです。
軸の塗りも、良い物ほど回数を多く塗っています。そうする事によって湿気を防ぎ、保存性が向上し、すべりどめや汚れ防止にもなるのです。また、見た目の美しさも違ってくるなどの、たくさんの違いがあります。
6. 芯の違い
芯の違いは主に黒鉛や粘土の粒度、つまり細かさにあり、高級な芯ほど原料黒鉛の粉砕・精製・加工に技術と神経が使われています。
トンボ鉛筆の芯は、標準タイプ・高級タイプ・エコタイプ(リサイクル黒鉛使用)の3種があります。
7. 鉛筆の長さと太さの決まり
長さについては172mm以上がJIS規格、トンボ鉛筆では176±0.8mmと2番切り・174±0.8mmを基準にしています。
これに近い長さを最初に決めた人は、ドイツ人のルター・ファーバーとされています。1840年頃に「7インチ(17.78センチ)」にしようと提案しています。この長さは、大人の手のひらのつけねから、中指の先までの長さからとったといわれています。
太さはJIS規格では最大径8mm以下、トンボ鉛筆の基準では7.7±0.2mmです。
鉛筆を持つ時は3本指なので、その倍数が正しく握れるとされています。一般的にはころがりどめとも言われています。色鉛筆に丸軸が多いのは、黒芯に比べ太い色芯の太さをカバーするためです。丸軸の理由としてもう一つ挙げると、書く時に回しやすいからというものがあります。
9. 鉛筆のJIS表示について
鉛筆JISは、昭和26年(1951)に制定され約50年にわたって我が国の鉛筆の品質向上に貢献してきましたが、平成10年(1998)に規制緩和の一貫で品目指定が取り消しになり製品に刻印されていたマーク表示を廃止することになりました。品質水準が上がったのでJISマークを付ける意味がなくなってきたためです。しかし、JIS規格基準は存続しており、この基準に基づいて製品は作られています。
10. 鉛筆の筆記距離はどのくらい?
鉛筆を削らなかったとして得られる筆記線は1本で約50km(HB)になります。
実際的な距離を考えようとした場合、鉛筆の先を0.6mmに削り1mmまで使い、又削る方法で6割の105mmまで使うと、筆記線はHB・530m、H・1500m、2H・2500mになります。
ちなみにシャープ芯では、0.5mm・HBのシャープ芯(長さ60mm)を全部使ったとして、得られる筆記線は約240mです。
11. 小学校で鉛筆が使われる理由
文部科学省では「日本語を見やすく、分かりやすく、効率的に書く」ことが出来るように、硬筆書写教育を、小1から中3まで推進しています。そのためには、正しい字を正しい筆順で、はね・とめ・はらい等の基本技術を使い、初歩のうちから覚えていくことが最も大切であると考えています。
特に低学年のお子さんは筆圧の加減が難しく、鉛筆が適しています。
シャープでは芯の出具合によって、子供の強い筆圧では折れやすい等の理由もあります。
鉛筆を回しながら書くと(これは私達が無意識の内にやっていることですね)先が鈍く尖った円錐状になり、はね・とめ・はらいが表現できます。シャープ芯では細すぎて竹をななめに切った様な形となり、はね・とめ・はらいが不安定になります。
また、人間は焦ったり緊張したりすると筆圧が強くなると言われます。そんな時、芯が太い鉛筆はシャープ芯に比べ折れにくいので良いとされ、受験会場などでも鉛筆が使われることが多いようです。
鉛筆の歴史
1. 鉛筆の語源
黒鉛(グラファイト)と粘土で出来た芯を木ではさんだ物を日本で「鉛筆」と呼んでいます。英語ではwood cased pencilで、日本では省略してpencilとしています。
Pencilの語源は、もともとラテン語の「ペニシラム(しっぽ)」という意味で、初期の鉛筆の金属の鉛の棒を毛で包んだ筆記具の形がしっぽに似ていたところから名づけられ、定着したと思われます。それはlead pencil(レッドペンシル)と呼ばれていました。
2. 鉛筆の芯の歴史
エリサベス王朝時代の1564年に、イギリスのカンバーランド山脈・ボローデル渓谷で、黒鉛(グラファイト)が発見されました。はじめは、その黒鉛をただ棒状にして使っていただけでしたが、鉱脈が掘りつくされてしまい、改良研究が進められました。1795年にはフランスのコンテが、黒鉛と粘土を混合するという現在の基礎となる製法を発明しました。また、焼き固めるだけでなく、混合の割合を変えることによって、芯の濃度が変化するということも発見されました。
3. 芯改良の背景
黒鉛の塊(石墨)の発見は、当時苦労して図面や文字を書いていたヨーロッパ社会に大センセーションを巻き起こし、爆発的にヒットしました。値段も高騰し、石墨、つまり黒鉛の塊は貴重品となりました。その後イギリスとフランスで戦争が始まり、イギリスでしか取れない良質の黒鉛が入手出来なくなったフランスは、国を挙げて、代替品として黒鉛の粉と粘土を混ぜて焼く、という製法を発明した訳です。
4. 鉛筆の軸の歴史
石墨だけの時代は、細く削った黒鉛の塊を糸や針金を使ったり、木の板で挟んだりして、折れない様に、手が汚れない様にと何かでカバーして使っていたようです。その後、細長い木に四角い溝を切り、四角く削った黒鉛を入れて木で蓋をして、それから丸く削る方法で現在の形の基礎が出来ました。コンテが作ったのも四角い芯を使ったこの方法でした。19世紀の後半に、丸い芯を丸く削った軸板で挟む現代の方法を、アメリカの鉛筆業者が開発しました。これにより、使いやすくコストの安い鉛筆が出来て、世界的に普及したのです。
5. 紙巻鉛筆の歴史
アメリカの伝統や歴史に囚われない風土によって、紙巻鉛筆のような画期的な製造法が生まれました。当時も鉛筆に適する木は潤沢にあった訳ではなく、マーキンググラフに使われている様に紙で巻いてむきながら使う紙巻き方式も、木の代替品として19世紀後半には発明されていました。
6. 鉛筆の日本での歴史
日本で最古の鉛筆は、徳川家康に献上されて使われたとされています。現在は、久能山の東照宮に保存されています。しかし、それよりも古い物ではないかと言う物が、伊達政宗の副葬品として発見されました。
久能山の鉛筆を調べてみると、芯はメキシコ産の石墨、軸木は中南米産マホガニーに似ているそうです。家康は実際にそれを使っていたそうですが、どこで作られどの様にして家康の元に届いたのかはいまだに謎です。
7. 色鉛筆の歴史
日本最古の色鉛筆は、姫路神社所蔵の古文書に赤鉛筆で書かれた筆跡が残っていますが、赤鉛筆そのものは現存していません。
8. 鉛筆工業の歴史
明治になって文明開化が起こり、大量に輸入されました。明治18年(1885年)に25,750グロス、明治38年にはその約10倍が輸入された統計が残っています。
日本での製造は、明治7年(1875年)に伝習生(井口直樹・藤山種広)から学んだ小池卯八郎が鉛筆工場を設立したことから始まりました。その3年後、明治10年(1878年)ドイツの鉛筆を研究し独学で作り方を確立した河原徳右衛門が工場を作りました。明治17年、川原工場門下生の杉江鉦次郎が「大日本鉛筆株式会社」を設立、また明治20年に眞崎仁六が「眞崎鉛筆製作所」を設立し、その後大正14年に真崎大和鉛筆となり、現在の三菱鉛筆となっています。
明治43年「大日本鉛筆株式会社」で技術を学んだ小川作太郎が独立し、現在のトンボ鉛筆の鉛筆作りの基礎を作りました。大正2年(1913年)に小川春之助商店が発足し、現在のトンボ鉛筆となっています。
9. ゴム付鉛筆の発明者
1858年にアメリカ人のハイマン・リップマン氏によってゴム付鉛筆が発明されました。彼はデッサン中に傍に置いた消しゴムがすぐなくなり、それを探すのがめんどうなために、鉛筆に消しゴムをセットすることを思いつきました。既にある2つの商品をくっつけると言うアイデア手法はハイマン法とも言われています。