2010年6月2日 9時46分 更新:6月2日 15時8分
鳩山由紀夫首相(民主党代表)は2日午前、国会内で開いた民主党の両院議員総会で「社民党を政権離脱という厳しい道に追い込んだ責任を取らねばならない。政治とカネに決別する民主党を取り戻したい。このことで私自身も、この職務を引かせていただくことになる」と述べ、辞任を表明した。小沢一郎幹事長にも資金管理団体による政治資金規正法違反事件を指摘して辞任を求めたことを明らかにし、小沢氏も幹事長辞任を正式に表明した。同党は常任幹事会で役員の総退陣を決定。4日に両院議員総会で新代表を選出する。小沢氏は幹事会で「組閣は7日になる」との見通しを示した。後継首相には即戦力となる人材を軸に調整する方針で、菅直人副総理兼財務相らの名が挙がっている。昨年9月に政権交代を果たした鳩山政権は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題の迷走を機に8カ月半で崩壊した。
普天間問題を巡る社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相の罷免と社民党の連立離脱、首相の偽装献金問題で支持率が低下し、政権の求心力が低下していた。党内でも「このままでは夏の参院選を乗り切れない」との意見が大勢を占め、これ以上の政権維持は困難と判断した。
首相周辺は2日、「首相が辞意を固めたのはおととい(31日)。総合的に考え、(参院選で改選される)仲間を落選させたくない、という気持ちだった」と明らかにした。
首相は両院議員総会でのあいさつで、5月31日と1日の小沢氏と輿石東参院議員会長との会談で「私も引きます。しかし、幹事長も恐縮だが職を引いていただきたい。そのことによって、新しい、よりクリーンな民主党を作り上げることができる」と要請し、小沢氏が「わかった」と応じたと述べた。
小沢氏は2日の党常任幹事会で「私自身も首相と同じように(辞任し)役員も総辞職する」と語った。
首相は民主党の小林千代美衆院議員にも、北海道教職員組合の不正献金事件を念頭に「ぜひその責めを負っていただきたい」と、議員辞職など責任を取るよう求めた。
普天間問題について首相は「沖縄の外に米軍基地を移すために努力しなきゃいけない、との思いで半年間、努力してきたが、結果として県外には届かなかった」と説明。偽装献金問題に関しては「自民党を飛び出し、クリーンな政治を取り戻そう、との思いだったが、政治資金規正法違反の元秘書を抱えていたなど想像だにしていなかった」と述べた上で「さぞご苦労され、お怒りになったと思う」と出席議員に陳謝した。
09年6月、鳩山首相の資金管理団体の収支報告書で、故人から献金を受けたとする偽装献金疑惑が発覚。東京地検特捜部は09年12月、元公設第1秘書を政治資金規正法違反で在宅起訴。有罪判決が確定している。首相自身は不起訴となり、検察審査会も「不起訴相当」を議決していた。
平野博文官房長官は2日午前、鳩山首相の辞意を同日午前9時ごろに直接伝えられたことを明らかにした。
両院議員総会は首相の指示で午前10時に招集され、同時刻から予定されていた参院本会議は流会になった。首相は2日午後に臨時閣議を開き、新首相選出まで職務に取り組むよう求める。
◆鳩山首相辞任表明の骨子◆
▽国民が聞く耳を持たなくなったのは、私の不徳のいたすところ
▽原因の一つは普天間問題。沖縄、徳之島に迷惑をかけ、社民党を政権離脱という厳しい道に追い込んだ責任は取らなければならない
▽もう一つは「政治とカネ」の問題。私自身が政治資金規正法違反の元秘書を抱えていた
▽小沢幹事長にも同法違反の問題があった。幹事長に「私も(職を)引きます。幹事長も職を引けば、よりクリーンな民主党を作れる」と伝えると幹事長は「分かった」と語った