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きょうのコラム「時鐘」 2010年6月27日
メキシコ湾の原油流出から2カ月が過ぎた。オバマ大統領が「米国が直面した過去最悪の環境災害」と述べたように、政権を揺るがす事態になっている
13年前、ロシアタンカー・ナホトカが日本海に流した量に匹敵する油が毎日流出しているとの試算もあり、被害は大西洋にまで拡大している。オバマ大統領は、化石燃料に依存しすぎた経済を反省したが、今それを言っても始まらない。流出を止めてからの話である 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故を思い出す人もいるだろう。1986年に起きたあの原発事故が5年後のソ連邦消滅の序章となり、社会主義体制崩壊の一つの引き金となったことは多くの学者の指摘するところである ローマのように「帝国」は外敵に襲われて崩壊するのではなく、ほとんどが内部から自壊するとの歴史の教訓がある。現代の巨大国家のアキレス腱(けん)は、内なるエネルギー政策にあるのは米国も旧ソ連と同じだろう 杞憂(きゆう)に終わればいい。が、この未曽有の環境災害が米国にとどまらず世界を巻き込む恐れもないとは言えない。サミットで各国の本気度を聞いてみたかった。 |