中日−横浜 5回裏無死一塁、中越えにタイムリー二塁打を放つ堂上直。投手ランドルフ
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中日は24日の横浜戦(ナゴヤドーム)に敗れ、再び5割逆戻り。そんな中、2得点をたたき出したのが堂上兄弟。5回に弟の直倫が中越えにナゴヤドーム初安打となる適時二塁打を放てば、7回には兄の剛裕が代打で中前適時打。D党が待ちに待った兄弟“そろい踏み”。今度は兄弟そろってのお立ち台がぜひ見たい−。
兄弟そろい踏み−。記念すべき一歩が、切なく、むなしく浮かび上がった。堂上兄弟が初めて2人そろって挙げた「2」点。終わってみれば、得点はそれだけなのだ。
ランナーをためても返せない。うっぷんがたまる。ファンも、落合監督も同じだ。「ランナーがいるときのこいつらの考え方が分からんっ!」。試合後、激しく“もろさ”を突いた。
「一番おいしいところを逆に自分らでピンチだと思うのか…。何でもかんでも飛び付いて。ピッチャーは苦しんでるのに余裕持っていけないのかねえ」
堂上兄弟ら若手に向かってではない。主力たちへの叱咤(しった)だ。チャンスなのに、ピンチのようなスイングを繰り返す。そこが大いに不満なのだ。
ドームに充満するイライラ。少し和らげたのが堂上兄弟だった。最初にスカッとフルスイングをしたのは弟・直倫だ。「(打ったのは)ストレート。思い切っていきました」。5回無死一塁。それまで無得点に封じられたランドルフを打った。中堅フェンス際へ、ナゴヤドーム初安打となるタイムリー二塁打だ。
兄・剛裕は一振りにかけた。7回1死一、二塁で代打。集中し、初球をはじき返した。
「(打ったのは)フォークだと思う。昨日、一昨日と低めの変化球を振らされていたので、低めを捨てて、高めを思い切っていこうと思ったのがいい結果になったと思います」
高めのフォークボールを中前に転がした。終盤、3点差に迫るタイムリーだった。失敗から反省し、コツコツとプラスに転化し続けている。
これで兄弟出場は3試合連続。3試合目にして初めて兄弟そろって安打を放ち、打点も記録した。スコアボードにともった記念の得点「2」。それが全得点では寂しい。勝てなかったから、兄弟の喜びもしぼんだ。
悔しい思いをかみしめながら、成長の跡は残している。剛裕は1軍ならではの配球を体感。考え、翌日に生かす。「まだ打席数が少ないのでよく分からないですけど、代打だと相手も警戒して厳しい攻めになる。それは考えています」
直倫は全体練習開始より2時間以上も前に球場入りし、打ち込んだ。目下、落合監督の指揮下で打撃フォームの大改造中だ。若手なら当然かもしれないが、貪欲(どんよく)に練習機会に食らい付いている。
3タテに失敗し、貯金は1日で消えた。首位巨人との差は再び7に広がった。だが、前には進んでいる。 (生駒泰大)
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