中日−広島 1回表1死一塁、嶋のライナーを好捕、併殺に打ち取る吉見=ナゴヤドームで(榎戸直紀撮影)
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岩瀬から手渡された7勝目のウイニングボールを、吉見はいつにも増してうれしそうに受け取る。それもそのはず。広島の先発は今を時めく前田健。7イニング4安打3失点で先にマウンドを降りた相手に対し、8イニング4安打1失点。3月26日の開幕戦で黒星をつけられた敵のエースに投げ勝った。
「相手はセ・ナンバーワンだと思っているので、すごく気合を入れて投げました。開幕戦でやられていますし、前田君に勝たせないというか、負けをつけさせるというか。(相手は)10勝にリーチがかかっていたので、ボクが止めようという思いで投げました」
試合後は興奮が冷めない。両軍ともエースをぶつけてきた。先制点の重みが増す戦いで、先に点を許さなかったのが勝因だった。
「マウンドに上がったからには球の走りが悪いとか、調子が悪いから打たれましたとか、という問題じゃないので。悪くても投げないといけない」。7回に広瀬に適時打された以外は危なげなし。3カ月前ナゴヤドームでのスコアを裏返してリベンジした。
「相手のピッチャーと勝負しちゃいけないんですけど…。おかけで今日は楽しく投げられた。すごくテンションが高く投げられた」。やや慎重に言葉を選びながら正直な心境を明かした。セ・リーグでは久しく見られなくなった投手対投手の真っ向勝負。そんな巡り合わせが、今季ベストピッチを呼び込んだ。
「今日はいろいろな思いがあったマウンドです」と吉見。5月12日のソフトバンク戦(ナゴヤドーム)以来、1カ月半ぶりに勝ち星がついた。吉見の熱投が、主軸の援護を呼び込んだ王道の試合運びで再び貯金1。ここから上昇気流をつかみたい。 (中谷秀樹)
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