マツダ工場暴走事件で、殺人未遂などの疑いで逮捕された同社の元期間社員引寺(ひきじ)利明容疑者(42)=広島市安佐南区上安2丁目=が、工場内が通勤する社員で込み合う時間帯を狙って犯行に及んだ疑いが強いことが25日、広島県警の捜査本部などへの取材で分かった。
また、この日接見した弁護人は取材に対し、引寺容疑者について「(逮捕当初に比べ)落ち着いてきた」としている。
引寺容疑者は22日午前7時35分ごろ、広島市南区のマツダ本社宇品工場東正門から車で侵入。場内を歩いていた社員計12人を次々とはねるなどした疑いが持たれている。
捜査本部によると、引寺容疑者は事件の直前、県道を西側から進んで東正門前をいったん通過。近くの駐車場で急旋回した後、再び東正門に戻って侵入していたことが判明した。一連の不自然な行動をとった意図を調べる。
マツダによると、引寺容疑者が暴走した宇品工場と本社地区(広島県府中町)には計約7千人が勤務。工場などは午前8時15分の始業となっている。
引寺容疑者は4月1日から14日まで宇品工場で勤務。配属先のプラスチック課は東正門近くに位置しており、捜査本部は、出勤時間帯の工場内の状況を把握していた可能性が高いとみている。
捜査本部は25日、事件が発生した時間帯に合わせ、宇品工場東正門付近を中心に聞き込みを実施。約70人態勢で通勤途中の社員約200人から聞き取った。目撃情報などから引寺容疑者の犯行状況の裏付けを急ぐ。
捜査本部の調べで、亡くなったマツダ社員の浜田博志さん(39)=東広島市高屋町=を含め死傷した被害者12人の大半は歩道を歩いており、いずれも背後からはねられていたという。
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