名古屋場所の番付発表延期

　日本相撲協会は２６日、２８日に予定されていた大相撲名古屋場所（７月１１日初日・愛知県体育館）の番付発表を延期することを決めた。相撲協会によると、番付発表の延期は戦後初。賭博問題を調べる特別調査委員会の望月浩一郎弁護士は場所開催の可否との関連性について「リンクしていないと思ってもらって結構です」と話し、否定した。

　相撲協会は２８日に、野球賭博関与力士らを名古屋場所に出場させるかどうかや、同場所開催の是非について、特別調査委から提言を受ける臨時理事会と評議員会を開く。重要案件を協議する場を優先させ、場所前の恒例行事の番付発表を後回しにした。新たな発表日程は未定。

　野球賭博関与者３１人の事情聴取を続ける特別調査委の望月弁護士は、２５日に大関琴光喜関を含む１０人から聴取したと説明。２５日までに事情を聴いた計３０人は琴光喜関を含め、いずれも仲介役は元力士らで、暴力団の関与を認識していなかったという。特別調査委は３０人と暴力団との交際も把握していない。

　特別調査委はまた、賭博関与の上申書を出していないが、相撲協会が賭博へのかかわりの疑いを持った４人と、野球賭博以外の賭け事の関与者のうち一度に１０万円を超える金額を賭けた１人も事情聴取の対象に加えた。２６日までに全３６人の事情聴取を終了、２７日の会合で相撲協会に提示する処分案などを協議する。

　場所前の行事では、２９日に名古屋市内で予定されていた武蔵川理事長（元横綱三重ノ海）ら相撲協会幹部と、有力後援者の維持員との意見交換会も中止となった。

　陸奥生活指導部長（元大関・霧島）「理事会と評議員会が２８日にあるので、番付発表は無理だと判断した。これは経験したことがなく、大変、責任を感じている。協会全体として、大変なことだと思っている」

　◆大相撲の番付発表　直前場所の成績を元に、相撲協会審判部が作成した番付を一般に公表する行事。通常この日に新入幕や新三役ら注目力士の記者会見も実施する。７０年から基本的に場所初日の１３日前にあたる前々週の月曜日に行うことになり、８５年からは正月などを挟む場合は早めに発表することにした。相撲協会広報部によると、明治時代には体調不良の横綱常陸山の回復を待って番付発表の日程をずらすなど、流動的だった。