地図大手のゼンリンは、米アップルの「iPad(アイパッド)」をはじめとする電子書籍端末向けに住宅地図を商品化する方針を明らかにした。紙の地図の売り上げが落ち込んでおり、電子化を加速する。企業などでの新たな活用方法を提案して、収益源の多様化をはかる。
ゼンリンの高山善司社長が朝日新聞のインタビューに答え、「(これまでの)紙の地図を電子書籍にシフトしたい。(情報は)すでに電子化しており、技術的には難しくない」と説明。米アマゾンの「キンドル」なども視野に入れており、課金方法や著作権の保護方法を詰め、早ければ1年後に投入する。
すでに携帯電話で住宅地図を表示する有料サービスをしているが、電子書籍の端末で画面が大きく見やすくなる。通信機能を使って、カーナビのようにも使える。データベースの機能を持たせることも検討する。
ゼンリンは住宅地図の専用端末を投入した経験があるが、通信機能がなく10万円程度で、普及しなかった。電子書籍では資料も「1冊」に収まるため、営業マンらの利便性が高まるという。高山社長は「ハードや通信の性能が向上し、ビジネスとして成り立つ状況が整った」と話す。(米谷陽一)