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[19820] ネタ、ONE PIECE、MTG
Name: アリス餞水◆6ecadac8 ID:a8f92589
Date: 2010/06/25 18:17
(着の身着のままで社会から、世界から放り出されるなんて思いもしなかった)
 ダマンが視線を足元に落とすと、いかにも未踏の地にふさわしく、革靴が土汚れていた。たわむれにコインを一枚はじいてみるが、そこにはもちろん投入口も肌色のお碗もない。
(そもそもこの百円玉は食事に換えられるのか? 俺は昼飯を抜くつもりはなかったんだ。もう一時間したら食べに行くつもりだった。この百円玉と一緒にな)
 厚手のスーツがいかにも不適切で、いつのまにかべったりと汗をかいている。
(ワイシャツは下着のようなもので、他人に見せるものじゃないのだとか、何のコミックだ。スーツの話ならナポリの仕立て屋のやつか? とりあえず脱ごう。肩にでもかけよう)
 ダマンが立っているのは、ジャングルはジャングルでも本物のそれだった。暑いとしか言いようがなかった。また、彼の思考の大半もそのことで占められていた。
 靴が汚れても気にならなかった。確かにこんなに足場の悪い土地に突然放り込まれ、何の危惧もなく踏み出した一歩の迂闊さはどうともしがたいが、そこには誰の助けもあてに出来そうもない状況で、案山子のように立つことを避ける賢明さもあった。
(木、葉っぱ、葉っぱ、なんていうんだ? シダ? バナナとかありそうだ、暑い、暑い、イチゴ)
 ダマンは足を止めた。ぽつりとイチゴがあった。
 手がひとりでに伸びる。
(黒いぞ、めちゃくちゃ怪しい! なんだよ黒って、毒でもあるのか。しかも模様まである! ぐるぐるした、うずまきの、そうだ、唐草模様)
「くそまじい」
 ヘタとか、果肉とか、あるようなないような皮とか種とか、ダマンは全部一気に吐き出した。
 中身だけは吐き出せなかった。
------




 ダマンは自分が溶けているのを感じていた。時になめらかに、あるいはそうでなく。それはじっくりと土に浸透していく。自分は汚くて、濁っているという認識が彼の中に絶えずあった。靴の汚れなど既に昔のことだ。
(足りない、足りない。足りない)
(俺は何が欲しいんだ?)
(足りない、足りない。足りない)
(何が欲しいんだ)
(足りない。欲しいんじゃない、足りないんだ)
(だから、何が)
(俺が――)
(俺か?)
(そうだ! 俺が足りないんだ! 俺が足りないんだよ! 俺は水たまりなんかじゃなくて)
(――)
(――沼なのに!)
 本能的なダマンが理性的なダマンを侵食し、土に浸透したダマンは、次いで周囲を侵食した。
 しばらくしてジャングルはダマンになった。勿論、姿を変えて。
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 沼、つまりダマンが本物の川をひきこめないことは、彼が理性を取り戻してから割とすぐに解った。
(さっきから、カンナの声が耳の奥でリピートしている。レニはかわいい)
 いかにも窮屈な姿勢で、それでも精一杯体を伸ばしたように、湖岸が川に沿って出来ていた。自然な水をいとうように広がっていた。両手は川と川まで、足は海岸、頭は山の裾。広さは相当良い、湖岸がいびつ。
(イチゴは結局イチゴとしてはどうだったんだ? 俺は吐き出したが。カロリーはいくつだった。念能力は使用者の想像力次第だ)
(砂で人から水分を奪える、溶岩が火を燃やす。想像力ってなんだ。頭の出来か。じゃあ沼。沼って何?)
「黒1マナ」
(ばかか、俺は)
 水たまりではなく、沼である。自然の水の流れから独立して、一人で完結し、一人で増水する。どろどろして、もっと黒い物。そう、黒いのだ。
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 すでに体は足りていた。確固たる自我が欲しくなった。ちっぽけな人間の体を満遍なく満たしていたはずのそれは、ダマン自身の肥大化、広域化にともなって、薄れてきていた。
(俺はダマン。確かにサラリーマンだ。これから郵便局に内容証明を出しに行くところだ。靴の汚れはそれが済んで、昼飯も済んでからでいい)
(郵便局は駅の向こうだ。間に川があるから、行けない)
 川の向こうには、ダマンに食われなかったジャングルがある。
(悪魔の実のせいで郵便局に行けない)
(それはコミックだ。現実をみろ! 早くもどらないとハゲの上司がうるさいぞ!)
(俺は沼だ。サラリーマンじゃない)
(革靴の汚れが)
(泥と水こそが俺)
(汚い靴はサラリーマンにふさわしくないって、事務のおばさんが)
(それこそが)
「俺は……なんだ……」
 言葉を発する際、舌がもつれて唾液がぴちゃぴちゃと音を立てた。
 舌も頬も、歯すら泥でできていたから、存外に大きな音だった。



[19820] 02
Name: アリス餞水◆6ecadac8 ID:a8f92589
Date: 2010/06/25 18:18
 一晩たって、ダマンは自分がサラリーマンではなくなってしまったことを認めた。郵便を出すだけの簡単な仕事を済ませられなかった。
 靴やスーツは自分である沼のどの辺りに対応するのか、おおよそわかっていたが、書類の入ったバッグが腹の上で水びたし、泥まみれになっていることもわかっていた。
(ハゲの上司ともサヨナラだ、口うるさい事務のおばさんともサヨナラだぞ)
(辞めたのは連中じゃなく俺の方だったけど)
 無断欠勤などしたことがなかった彼は、どうしようもないもののせいで足を踏み外してしまったと気づいたとき、綺麗さっぱり心が離れてしまった。終わってみると未練もなかった。
 次第に取り損ねた昼食が頭を占めだした。
(口がどのあたりかはわかる。舌も、頬も。だが、食道はどこだ? 胃は? 腸は? 俺は飯を食えるのか?)
 足先で鳥か何かがダマンを飲んでいた。
(爪のかけらくらい、ほんの少し、俺が欠けていく。痛みはないし、すぐにもとに戻る)
(こいつらはいいな。喉があって胃がある)
(俺にはないのか? そんなはずはない、ちょっと見失っているだけだ)
(俺の胃はどこだ?)
(沼のどこかにあるはずだ)
(沼? 俺はどこだ)
(沼が俺なんだよ)
(俺はサラリーマンはやめたが、人間はやめちゃいない)
(人間の俺はどこだ)
(そんなものはない。沼こそが俺だ)
(俺は人間だ、人間の俺はどこだ)
(沼こそが)
(じゃあ、人間を探す俺は沼か? 沼が人間を探すのか?)
(そうだ、そうじゃない。人間を探す俺こそが――)
 岸が急激にひいていった。野鳥たちが驚いて飛び去っていく。飲み込まれたはずのジャングルが姿を現し、ダマンが一点に収縮する。
 沼がその意志のままに、一人の人間の形をとる。
------




 スーツを肩にかけたダマンが立っていた。本物のジャングルの中だ。
(ダマン、忘れるな。俺は人間だ)
(そして沼だ)
(そうかもしれない。現実なら俺は人間だが、夢の中では沼でもあるのかもしれない)
(現実だ。俺は沼でもある)
(それは夢だ、ありえない)
(ありえないの境界をどこにするつもりだ?)
 握った百円玉でパン一つ買えないことを、ダマンはわかっていた。ここがジャングルなのだから、あたりまえだった。
(ジャングルの中でパンが買えるはずがない)
(その通りだ)
(人間が沼になるはずがない)
(どこでだ? ジャングルの中なら人間が沼になるはずがない?)
(そうじゃない、社会とか、世界とか、そういうもっと根本的な)
(人間が沼になるはずがない。そのとおりだ! あの灰色のジャングルの中では)
(ここはどこだ)
(認めろよ、ダマン)
(人間が沼になるはずが――)
「……なれるんだよ、ダマン。なっちゃうのさ。
 ここが……その……コミックの中なら」
 やがてダマンは歩き出した。二本足で、昼食を探すために。
------




 服が湿っていなかったのと同様に、タバコも湿っていなかった。重要なのはライターがきちんと点火するということだ。
 湿った木に火がつかず、随分な距離を歩いた。広がった沼の丁度真ん中で人間の形をとった自覚があったから、どちらに進んでも距離は同じだと気の向くまま進んだ。
 途中山菜らしきものを見つけたが、先端がくるくると、うずまいていて、どうしても手が伸びずまだ何も採っていない。
(俺はダマン、わりと仕事がよくできる。同期の中では給料もいい)
(金を相応にもっているはずが、なぜか昼飯が手に入らない。ジョーキッシュだな)
(仕事ができても昼飯が手に入らないんだと、誰か新入社員の俺に教えておけ)
(違うんだ、ここでいう仕事は俺のいう仕事とは違う)
(何ができれば昼飯が手に入る?)
(顧客のニーズに対応)
(仕事をくださいの看板が必要だ。一般的なサラリーマンのように仕事ができます)
(コミックじゃ時代はいつだか……十八世紀から十九世紀か? 自由権はあって社会権がないのか? 資本主義なのか?)
(俺の働く場所はあるのか?)
 ふと視界が開けて、ダマンは目を凝らした。
 一面に海があって、空との境界まで続いている。
(海、すばらしい海ですよ奥さん! 俺はこれよりもっとちっぽけで汚らしい沼を提供できます!)
(それからたまに大口の契約をとれたり)
 しばらく海を見つめていた。昼食の時間は気にならなかった。
「砂漠に、行こうか。グランドラインの。勿論現実にあるならだし、ここがどこだか知らないけど」
(そうして昼飯を済ませよう)
(船が欲しい。火のボートのような、煙のバイクのような)
(船の後ろから勢いよく沼が溢れだすのか? どんな沼だ)
(俺は何ができる)
 ダマンは海に背を向け、道を戻りはじめた。山菜でもなんでも、まずは食いつなぐことだ。



[19820] 03
Name: アリス餞水◆6ecadac8 ID:a8f92589
Date: 2010/06/26 02:24

 ダマンは人間だったが、その体は泥と水でできていた。人型のときは、右手の指から肘までにおいてならば、その比率を自在に操れた。
(多分これは、使わない筋肉がどうとかいうやつだろう。ちょっとできれば器用だねと感心される類の)
 彼は誰にも披露したことはなかったが、舌でサクランボをあれこれしたり、目もとをヒクつかせたり、手のひらに乗せたコインをひとりでに浮かび上がらせることができた。
(特にコインのマッスルパスは難しかった。指の付け根の筋肉だけ動かして、弾き飛ばす。できたときはうれしかった)
(何の役にもたたないが)
 泥と水を自在に循環させることをはじめに選んだ。特別な意味はない。能力を鍛えるという行為なら何でもよかった。
(トキワシティに行く前のレベリングと一緒だ、何ができるか調べる前に地力をあげようとしている)
(鍛えるなら感謝の正拳一万本だ、パンチ力がアップップ!)
(何を殴るつもりだ)
(何をどうしたいのか見失っているのか?)
(あれの本質はそうじゃない)
(継続)
(継続するんだ、どんなことでも)
(脳からやる気ホルモンが出てくる。ドラッグみたいに)
(感謝の正拳)
(感謝の心と正しい姿勢がやる気ホルモンを生み出す)
(大脳生理学の権威の誰かが)
(感謝の正拳は則っている)
(継続しろ)
(循環)
(泥と水)
(沼)
(そうだ、沼こそが――)
 知らぬうちにダマンは美しい座禅を組んでいた。
 彼自身はいつしか自然の一部となり、そのことを思っていた。
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 ダマンはその何時間か、何日間か、何週間かの間、食事を取らなかった。
 どこかの宗教の断食に熱心な教徒のように、消化器官の浄化がすすんでいた。
(こいつらは暇だと部屋の掃除を始めるのか)
 彼は体のほとんどの点について把握できていた。もはや沼をかたどっても、胃の位置を見失うことはないように思われた。
 人の形をとっていても、泥と水を完全に制御下においていた。
 そしてもう一つ、なにかがあった。
(こいつは突然あらわれた。ちがう、俺が、あればいいなと思ったんだ)
(そして探ったらあっさりと出てきた)
(最初からあって、それまで気づかなかっただけだ)
(俺が欲しいと思ったから、最初からあったかのように追加されたのさ)
(わからない)
(何ができるかがわかれば十分だ、俺はしってるはずだ)
 ダマンはあらん限りの力をふり絞って絶叫した。力みで泥がひび割れ、水が散った。
 しばらくの間、聞くに耐えぬ声が響き渡る。
 やがて彼の胸から、魔力の塊が、黒いマナが一つだけ生まれた。
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 火の粉が飛び散って、銃と剣げきの音が響いている。
 音の数だけ、人間がたおれていく。
 ダマンはそれを見下ろしているだけだ。
 城門が破られようとしている。砂の王国が……。
「トモダチが増えるよ! 僕のトモダチが増えるよ!」
 明るい声が響いた。
 つられて振り向くと、彼がマナでよび出したゾンビが無邪気に
------




 ダマンが目を覚ますと、そこはジャングルの中だった。マナは消え去っていた。
(たぶん、マナバーンだろう)
(生み出したマナはターン中に使いきらないと、ライフを削る)
 確かにダマンの胸元が、ホームランボールが直撃した砂場の城のように飛び散っている。
(1点のダメージだな。ライフは全部で20点でいいんだろうか)
(どこかからライフをドレインしないと、回復しないと)
(疲労困ぱいだ、カードの名前じゃない。これがタップ/使用済みってことか?)
(アンタップはまだか。いつ体力は戻る)
 彼は再び「沼」が「使用可能」になるのが待ち遠しくてどうにもならず、荒い息の間に笑い声を漏らした。
(おい、どうするんだ俺は! どうするんだよダマン!)
(俺は人間で沼なのかもしれないが、少なくともウィザードじゃなかった)
(ついさっきまではな)
(よりによって黒だぞ、どうするんだ。死と、破壊と、恐怖と、それにとにかくマイナスのもの)
(どれもこれも黒が包括している)
(大丈夫、俺は一人だ、沼はたった一人。たった1つのマナで何をしようっていうんだ)
(そのとおり――)
(――っちがう! 黒だ! 黒なんだよ! 俺はばかか!?)
 突然ダマンの体中を活力がみなぎった。これがアンタップなのだと本能的に理解した。
(あのころは楽しかった。俺のデッキはいつでもスーサイドブラックで、勝ったときも負けたときも派手なゲームをした)
 いつだって始まりはそうだった。
「『暗黒の儀式/Dark Ritual』!!」
 反射的に、熱狂的に、あるいは懐古的にダマンは叫び声をあげた。沼となった彼の胸から黒いマナが1つだけ絞りだされた。
 水面に儀式陣が現れる。それは何か超然としたものでできていて、またダマン自身でもできていた。
 マナは陣に吸い込まれ3つに増殖した。
(いくらでも、いくらでも増える……黒のマナなら……)
 ダマンはマナを生み出す際の疲労でまたも気絶した。
 黒いマナはしばらく人魂のように漂っていたが、やがて痺れを切らしたのかダマンに飛び込んだ。
 今度は彼の胸と両肩が弾け飛び、マナバーンが3点のライフを奪った。
------

感想ありがとうございます。
()はわかりづらくてすみません。
その次で使うのと後から気が向いたら拾うのが混在して、意味のある()とないのが判断しづらくなってるかもしれません。
できるだけ気をつけて整理していこうと思います。



[19820] 04
Name: アリス餞水◆6ecadac8 ID:a8f92589
Date: 2010/06/26 19:10

 ダマンは1つのマナに世界の広がりを感じ、同時にマナを生み出すだけで気絶する自分について考えていた。
(今にも気をやりそうな人間がいたら、気をしっかりもて! と俺は言うだろう)
(気をしっかり持つ)
(俺を認識する)
(俺は人間であり沼である)
(と、人間の俺が認識している)
(黒マナを生み出すのは沼)
「たぶん、これが、よくない」
 雑多に考えをめぐらせ、形になったものから口にだしていく。
(沼の俺が強く意識されたとき、それを意識している俺は人間のままだった)
(人間の俺が自分を見失うんだ)
(沼でありながら俺を意識しろ)
(考える沼)
(考える沼になれ)
 ダマンの脳裏を考える葦という言葉がよぎった。ダマンは沼になる前から、灰色のジャングルの中で、人間であり既に葦であった。
(葦は群生していた)
(一本では踏みつぶされる)
(二本でも弱すぎる)
(何本も、何本も、数えきれないほど膨大になって、そうして強くなる)
(人間であり葦)
(それが昔の俺だよ、ダマン)
(今は違う)
 ダマンは絶叫した、まさしく。世界中に響き渡ると思われた。
「俺は人間だし、そして沼だ! 海に嫌われた沼! 川の流れを引き込まず、海に合流しない!」
 絶叫するダマンは沼の形をとっていた。
「だけど、葦じゃない! お前たちの命の苗床だ!」
 木の影から動物たちがあらわれた。空から鳥たちがおりてきた。
 やがて誰もがダマンから水を得はじめた。
------




 ダマンが考える沼となるのにはさらに数カ月の時間を要した。
 もっともそれは何かしらの困難が立ちはだかっていたわけではなく、意識が状態に慣れるための時間だった。
 その間、彼はマナを生み出すことをしなかったが、マナが蓄積されるようなことはなかった。
(ルール通りだ。前のターンに使わなかったからといって、次のターンで二倍役に立つわけじゃない)
(意識を保ちつつマナを生む)
(認識しろ)
(沼である俺)
(そして中核に、黒くて力強いもの)
(黒1マナでとなえられる)
「『カーノファージ/Carnophage』!」
 ダマンは意識が吹き飛んでしまいそうな自分をこらえつつ、認識を強くした。
 そいつがやってきた。
 となえたのはクリーチャー・スペルだ。文字通りクリーチャー/生物を生み出す。
 華奢で、鋭い牙をもち、いかにも攻撃的な姿をしている。真っ赤。
(皮が綺麗にただれ落ちてしまったんだ、まるきり肉の体)
(俺が生み出した)
(意識は……ちゃんとある)
「――よろしく」
 ダマンはそれだけ振り絞った。倦怠感はある。しかし、ダマンもそこにいる。
 カーノファージも変わらず立っている。
(成功だ)
(いつも真っ先に切り込んでいった)
(1マナで攻防2/2)
(維持にライフ1点)
(おい……それは……)
 マナを生み出す際に気絶することと、タップ時の疲労感は別のものだった。
 走り込んで息があがっているときのように、苦しかった。
(タップって、こういうことなんだぞ)
(苦しい)
(辛い)
(カーノファージの効果)
(アップキープの開始時に、ライフを1点支払わない限り、カーノファージをタップする)
(タップする)
(生まれてくれてありがとう、カーノファージ)
(だけど用事はないんだ)
(生まれるかどうか確認したかっただけだ)
(ライフを失ったら、0点になったら俺は死ぬ)
(用事はないんだ)
(だからずっと、タップしててくれ)
(用事はない)
(ずっと、息を切らして、疲れきって)
(何もしなくていいけど、タップしててくれ)
「それは……だめだ。おれは、なにさまですか? 神様か? なんだ……これは……」
(なんだ、これは)
------




 やがて次のアンタップが、つまりアップキープがきて。
 ダマンは近くの枝を手折り、尖った先をカーノファージにつきたてた。
 カーノファージは何も言わなかった。
 沼の真ん中で、謝罪だけが繰り返し響いていた。
------

感想ありがとうございます。
もう長いこと気が向いたら箱開封→眺めて楽しむでもプレイはしない感じでした。マナバーンは改訂は知ってましたが実感がありません。マナは扱いをとちると危ない物質、ということでひとつお願いします。
そのくせMTG知識前提で書いててすいません。黒で戦います。


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