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◆成立しなかった法案って?
なるほドリ 国会が閉会したけれど、成立しなかった法案ってどうなるの?
記者 国会に提出された法案は、同じ会期内に衆参両院で可決されることで成立します。今回は次の国会までに参院選が行われるので、参院に残った法案は慣例で廃案になります。衆院に残っている法案は、参院選後の国会に持ち越し、継続審議にすることができます。
Q なぜ参院だけ廃案になるの?
A 7月11日に予定される参院選で、参院議員の半数が代わるので、これまでの審議をリセットしようという考え方からです。一方、衆院選が行われる場合は、衆院に残った法案ばかりでなく、参院に残った法案も慣例で廃案になります。
Q 廃案と継続審議はどう違うの?
A 会期終了時に成立しなかった法案は、自動的に廃案となり、ゼロから出し直しですが、会期終了前に本会議などで継続審議の手続きにあたる「閉会中審査」を議決すれば廃案にならず、次の国会で引き続き審議できます。
Q 慣例で廃案ということは、例外もあるの?
A はい。この慣例は61年12月召集の通常国会から始まったのですが、71年6月の参院選直前の通常国会で、地方自治法改正案が廃案にならず、参院で継続審議になった例があります。今国会でも、与党内に参院で郵政改革法案の継続審議を模索する動きがありました。
Q 廃案になったら同じ法案はもう出せないの?
A いえ、新しく国会が開かれれば、出すことができます。今国会は、政府・民主党による会期の延長見送りが響き、郵政改革法案などは衆院を強行採決で通過させながら、参院で廃案になりました。菅直人首相は連立を組む国民新党に配慮し、郵政改革法案を参院選後の臨時国会に再提出し、早期成立を図るとしています。
Q なぜ延長を見送ったの?
A 通常国会は1月に始まり、会期は150日間と決まっています。法案の審議が終わらない場合、通常国会は1回(臨時国会は2回まで)延長することができますが、政府・民主党内に、菅内閣の支持率が高いうちに参院選を行いたいとの意見が強かったためです。会期をなくして「通年国会」にしようという意見もありますが、議論はあまり具体化していません。(政治部)
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毎日新聞 2010年6月17日 東京朝刊