伊賀地域の3総合病院で運営している時間外2次救急医療の輪番制で、伊賀市と名張市は25日、7月も輪番制を継続することを決め、当番病院表を発表した。しかし、深刻な医師不足を理由に金曜日の3日分については担当病院が未定の「調整中」とされている。両市は「対応が決まり次第発表する」としているが、医師確保のめどが立たなければ、伊賀地域の時間外2次救急に空白日が生じることになる。【伝田賢史】
両市は今年3月、7月以降に両市の2公立病院(上野総合市民病院、名張市立病院)で機能分担の実施を視野に入れた確認書に調印していた。25日の発表では、「機能分担実施に向け、三重大に名張市立病院への内科医2人増員を要望していたが『医師不足で出せない』という非常に厳しい結論に至った」と説明した。
この日は、内保博仁伊賀市長と亀井利克名張市長、両公立病院院長らが伊賀市内でそろって会見した。「調整中」となっているのは来月2、16、30日で、伊賀市側が担当する方向で調整を急いでいるという。一方、木曜日の8日と22日は名張市立と上野総合市民の2病院が、内科系、外科系ともに各病院で受け入れる。
亀井市長は8月以降の救急医療体制について「改めてこのような場(記者会見)を設けなくてはいけないと考えている」と述べ、調整が難航するとの見方を示した。
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■視点
懸案だった7月の2次救急医療体制がようやく発表された。3病院による輪番制を維持するものの、3日分は担当病院が決まらず「調整中」とされ、以前から不安視されていた「空白日」発生の恐れが強まってきた。
7月以降の体制について、内保博仁伊賀市長は「輪番制を継続」、亀井利克名張市長は「確認書に沿って機能分担を始める」と議会などで述べてきた。25日の会見でも、内保市長が「機能分担実施は、上野への医師補充と三重大の協力が前提」と述べた一方、名張市立病院長が「2人の医師増員があれば機能分担は実施できた」と述べるなど、両市間の“綱引き”とも取れる応酬があった。
伊賀市によると、05年4月に上野総合市民病院に26人いた医師が今年7月には11人にまで落ち込む。医師不足が「調整中」を生んだ格好で、同市が医師派遣を三重大のみに頼りきってきたツケが顕在化したように思えてならない。
会見で亀井市長も述べたが、住民の生命や安全を守ることが地方自治体の最も重要な使命のはずだ。勤務医確保にあらゆる手を尽くしてほしい。【伝田賢史】
〔伊賀版〕
毎日新聞 2010年6月26日 地方版