一方、営業員の賞与額に反映する成績表では、特に重視する商品に挙げ続けた。裁判で出された元営業員の陳述書によると、毎月1千万円近い販売ノルマがあったという。
集団訴訟の弁護団事務局長を務める吉岡康博弁護士は「特殊な商品なのに、会社としてリスク説明を軽視していた」と高木の姿勢を批判したうえで、「ノルマを課して特定の商品を売るのは証券業界に共通の問題」と指摘する。
高木の歴代トップは、業界最大手の野村グループ出身者だ。昨年には野村出身者が社長を務めるコスモ証券(大阪市)も、顧客に頻繁な売買をさせていたとして業務改善命令を受けた。ある業界関係者は「ノルマ営業は多くの会社が五十歩百歩。結果として顧客が離れている」と話す。
高木は25日、「経営管理態勢の充実・強化に取り組む」と表明した。だが、訴訟規模は今後拡大する見通しで、経営のあり方そのものの見直しを迫られる可能性もある。