きょうのコラム「時鐘」 2010年6月26日

 寝不足とやじ馬の楽しさを味わった。W杯サッカーで日本が勝とうが負けようが、明日のわが身に何のかかわりもない。が、血が騒ぐのである

快進撃で、応援の熱はどんどん上がる。やじ馬の信条は単純である。勝てば官軍、それで良し。岡田監督の手腕や本田選手の「大口」に首をひねったことなど、どこかへ消えた。軽すぎる尻が相当くすぐったい

やじ馬は、熱しやすく、さめやすい。負けた途端、応援席で辛口の評論家に宗旨変えする。周囲の尻馬に乗って、監督や選手を批判する。これも自慢できぬ尻の軽さ。「こんな割の合わぬ仕事はない」。やじ馬に悩む岡田監督の口癖だそうである

本田選手の活躍で、白熱の試合がまだ続く。もう一つ、国政選挙という戦いもある。来月にはその決着を深夜まで見守ることになる。やじ馬は忙しい。いや、選挙は明日の暮らしにかかわるのだから、断じてやじ馬ではない

そうではないが、やじ馬評論家は結構いる。1票を投じた責任を棚に上げ、選挙結果を誰かのせいにして政治の貧困とやらを嘆く。そんな悪い癖から、少しずつでも手が切れないものか。