２０１０参院選みやざき：公示　３候補、舌戦スタート　／宮崎

　◇口蹄疫禍、自粛ムードの中
　第２２回参院選が２４日、公示された。宮崎選挙区（改選数１）には現職と新人の計３人が立候補した。口蹄疫で県内の農家や地域経済が大きな打撃を受ける中、県選管は感染拡大防止のため握手や演説会の自粛を呼び掛ける一方、各陣営は消毒の徹底で対応する異例の選挙戦へと突入した。
　昨夏の政権交代を経て初の国政選挙でもあり、県選管に立候補を届けた候補者たちは宮崎市内で出陣式を開いた後、街頭でそれぞれの政策を訴えた。陣営のスタッフが念入りに選挙事務所や選挙カーを消毒する姿も見られた。【参院選取材班】
　立候補者は届け出順に、自民現職の松下新平（４３）▽共産新人の馬場洋光（４１）▽民主新人の渡辺創（３２）＝国民新推薦−−の３候補。
　松下氏は、０４年の参院選では無所属で初当選。民主党・新緑風会、改革クラブを経て今年１月に復党。自民県連の公募により公認を得て、再選を目指す。後援会と自民県連が組織戦を展開する。
　馬場氏は、沖縄の普天間基地問題など政権批判を展開。民主、自民のいずれでもない有権者の支持獲得を目指す。
　渡辺氏は元毎日新聞記者。民主初の公認候補で、連合宮崎などが支援する。連立離脱に伴い社民県連は支援をを見送ったが、「反自民」の立場は変わらず、影響は限定的とみられる。
　期日前投票は２５日〜７月１０日午前８時半〜午後８時。投票は１１日午前７時〜午後８時（一部地域で繰り上げ）、県内７８５所で。午後８時以降、順次開票作業が始まり、深夜から翌日未明にかけて当落が判明する見通し。
　◆立候補者の第１声（改選数１−３、届け出順）
　◇宮崎再建のため汗を流す−−松下新平氏
　松下氏は宮崎市の宮崎神宮で必勝祈願した後、出陣式に臨んだ。
　後援会、自民支援者らを前に「口蹄疫のまん延防止、１日も早い終息と宮崎再生を祈った。再選し、畜産王国の復活、宮崎再建のために汗を流したい」と訴えた。
　また、党県連の中村幸一会長は「今まで自民党は分裂選挙を繰り返してきたが、久しぶりに挙党一致で臨める。団結して頑張ろう」とあいさつ。０４年の選挙では松下氏と敵味方として相まみえた元参院議員の上杉光弘氏も応援に駆けつけた。
　松下氏はこの後、自転車で早速、宮崎市内の遊説に出発した。
　◇米国へ、財界へ物を言う−−馬場洋光氏
　馬場氏は宮崎市の事務所で出陣式の後、市内遊説に出発。
　橘通西のボンベルタ橘前で、津島忠勝県委員長が「口蹄疫被害者の思いを受け止め、常識ある選挙を行いたい」とあいさつ。馬場氏は「これ以上農家が離農すれば、私たちの食料を作る人がいなくなる。もう被害農家は１円たりとも借金できない、国は直接補償するべき」と訴え、米軍基地撤去や消費税増税反対を挙げて「米国にも財界にも国民の目線で物を言う」と支持を求めた。
　防疫対策のため、選挙カーには消毒液、酢、長靴、防護服などを積み込んでいた。
　◇幸せを追求できる社会に−−渡辺創氏
　渡辺氏は宮崎市の選挙事務所前で出陣式。「暮らしを見つめ、守り、すべてのみなさんが幸せを追求できる社会を作りたい。口蹄疫被害は深刻な状況で、再興に全力を注ぐ。非常時だからこそ意思を示してほしい」と強調し、「記者時代と信念は変わらない。徹底して現場にこだわりたい」と訴えた。
　井上紀代子・県連代表も「口蹄疫で落ち込んだ宮崎を元気にするためには渡辺候補のような政治家が必要」と支持を求めた。
　高千穂通りのカリーノ宮崎前での街頭演説で第一声を上げ、馬淵澄夫副国交相も応援に駆けつけた。
　◆有権者の声
　◇零細商業者の支援を−−都城市姫城町、飲食店経営、小山福雄さん（６２）
　口蹄疫の影響は、飲食業でも深刻だ。宴会ばかりか個人のお客さんもいなくなった。われわれのような零細商業者を支援する対策も講じてほしい。
　◇農家再建の道筋示して−−えびの市、養豚農家、宝尺実正さん（５３）
　国は被害農家に対する補償を掲げているが、給付が始まるこれからが大切な時期。候補者には農家の再建への道筋をしっかりと示してほしい。
　◇増税は無駄省いた上で−−延岡市山下町、無職、山口かすみさん（６４）
　政権交代が実現したのだから、今少し様子を見たい。消費税増税も必要なら仕方ないが、事業仕分けなど無駄を省いた上で考えるべきだ。
　◇高齢者に優しい政治を−−宮崎市、会社員、兵藤千年美さん（７４）
　年金だけでは食べていけないので仕事をしているが、辞めた後の生活が不安。消費税増税については、日々の食料品がこれ以上高くなると困る。高齢者にも優しい政治を。
　◇畜産再興考えて一票に−−都農町、畜産農家、永友浄さん（６５）
　口蹄疫の政府の初動は問題だったが、その後の補償などはスピーディーな対応だったと思う。宮崎は畜産業が盛んな土地。再興を第一に考えてくれる人や党に票を投じたい。
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松下新平（まつした・しんぺい）　４３　自　現（１）
　党青年局次長・農林水産関係団体副委員長・国土建設関係団体副委員長・安全保障関係団体副委員長▽農林水産委員［歴］県職員・日向土木事務所主事▽参院議員秘書▽県議・総務企画常任委副委員長▽法大
馬場洋光（ばば・ひろみつ）　４１　共　新
　党国会議員団県事務所長・県青年学生部長・県書記長［歴］西田インテリア工業社員▽県労連事務局次長▽民青同盟県委員長▽ＨＩＶ訴訟を支える会事務局次長▽しんぶん赤旗記者▽党県常任委員▽日向学院高
渡辺創（わたなべ・そう）　３２　民　新
　党県青年局長・政策会議事務局次長［歴］毎日新聞記者▽新潟大＝［国］
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　【名鑑の見方】氏名、年齢（投票日の７月１１日現在）▽党派▽現元新▽当選回数▽肩書▽［歴］以下は主な経歴▽最終学歴、＝政党の推薦支持

６月２５日朝刊

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