口蹄疫(こうていえき)におびえる故郷の畜産農家の思いを知って――。麻布大獣医学部6年の日高佑太郎さん(24)が26日、神奈川県相模原市の同大で開かれる口蹄疫の公開講座で講演する。養豚業を営む実家と周辺の状況を等身大の姿で伝え、感染防止に取り組む宮崎への支援を訴える。
日高さんの実家は、宮崎市など2カ所の農場で計1万頭の豚を飼育する養豚農家。目が覚めると豚の鳴き声が聞こえる環境で育ち、獣医師を目指して麻布大に進んだ。
4月、国内で10年ぶりに口蹄疫が発生した当時、実家は発生地から30〜40キロ離れていた。だが、今月9日以降には宮崎市などに「飛び火」。実家が、家畜の移動を制限される区域に入ると、電話口の父親の声のトーンがどんどん下がっていった。「感染防止のため、豚舎の消毒回数を増やし、宅配便や新聞の配送も止めた」といった話が続いた。
一方で、大学では、周囲の関心は驚くほど低かった。宮崎県産の肉の買い控えなどの風評被害も出ていた。今月初め、殺処分などの防疫活動に携わった同じ研究室の新井佐知子助教(34)が現地から戻ったのを機に、公開講座の企画が持ち上がった。
講座「口蹄疫を正しく知ろう」は26日午後1〜4時、麻布大百周年記念ホールで。日高さんと新井助教の講演のほか、ウイルスの特性や感染を防ぐ方法を同大教授らが解説する。参加無料。問い合わせは同大経営企画課(042・769・2032)。(見市紀世子)