千葉景子法相は22日、人権侵害を救済する新しい機関の設置を柱とする「人権擁護法案」について、報道による人権侵害に対する「メディア規制」条項を設けない方向で検討していることを、法務省内の議論の中間報告の形で明らかにした。
一方、法案の提出時期については「できるだけ早くまとめたい」と述べるにとどまった。内閣府など関係省庁との協議や省内の議論のとりまとめ時期のめどは立っていないという。
人権擁護法案をめぐっては、2003年に廃案となった政府案に「犯罪被害者などに対する報道の人権侵害について特別救済措置を取ることができる」とした条項が盛り込まれたことがあり、こうしたメディア規制の行方が注目されていた。22日の記者会見で千葉法相は「報道機関による自主的取り組みが進んでおり、それを尊重すべきだと考えている」と述べた。
人権救済機関の設置は、民主党が昨年のマニフェストに掲げ、千葉法相も昨年9月の就任時に、早急に取り組む姿勢を示していた。省内で議論を進めた結果、法務省から独立した「人権委員会」を内閣府の外局に置くことを検討するという。
地方組織は、法務局や法テラス、NPO団体など既存の組織を活用する考え。人権委員会による調査を拒否した場合の過料や氏名公表なども検討されたが、こうした制裁措置は盛り込まない方向だ。(河原田慎一)