中国の輸出企業、大幅な人民元上昇に耐えられない恐れ－中国各紙

６月21日（ブルームバーグ）：中国の輸出企業は人民元相場の大きな変動を乗り切ることはできないとの見方を、中国証券報やチャイナ・デーリーなど中国各紙が、伝えた。中国人民銀行（中央銀行）が、元の弾力性を高める方針を示したことに論評した。

中国最大の金融紙、中国証券報は論説で、欧州債務危機の影響により、外需は引き続き「不確実」であり、今年７－12月（下期）の輸出は減少する可能性があると指摘。欧州危機に加えて、元が米ドルに対して大幅に上昇すれば、輸出企業にとって「二重苦」となる恐れがあると記した。

５月の中国輸出は前年同月比48.5％増加し、春節（旧正月）の影響を除いたベースで伸び率は６年ぶりの高水準となった。同月の輸出が予想を上回ったことを理由に、欧州債務危機の影響の可能性を看過すべきではないと、中国証券報は指摘した。

英字紙チャイナ・デーリーは論説で、世界的な需要の弱さと人件費上昇により、中国の輸出企業は元高への対処がさらに困難になるとの見解を示した。同紙によれば、人民銀が元の弾力性拡大を決定したことは、中国が輸出依存型経済からの脱却をこれ以上先延ばしにできないとの「明確なシグナル」だという。

共産党機関紙、人民日報は、人民元改革が必ずしも元相場の上昇を意味しないと報じている。

更新日時: 2010/06/21 14:00 JST