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政調復活、1年生と立候補予定者も歓迎

2010年06月22日

 菅直人首相が復活を宣言した政策調査会(政調)。昨秋の政権交代後、民主党は「政策決定の内閣一元化」を図るとして廃止していたが、党内の活発な政策論議がなくなる結果に不満を漏らす議員も少なくなかった。政調が実際に動き出すのは参院選後になる見通しだが、政策決定は変わるのだろうか。民主党の1年生衆院議員は「風通しが良くなる」と歓迎している。(安仁周、高橋昌宏、田伏潤)

 仙台市泉区で20日、斎藤恭紀氏(衆院宮城2区)の国政報告会があった。斎藤氏は参院選に向けて発表された党のマニフェストを紹介。議論の渦中にある消費税率のアップなどについて、集まった支持者ら約50人と話し合った。

 「消費税の増税はやむを得ない。けれど議員の待遇や政府の無駄遣いから見直さないと、国民は納得しないよ」「後期高齢者の医療制度はどうなった? 年寄りにとっては重大な問題なんだ」。次々と率直な意見が飛び出した。

 「1年生議員は次の選挙が最優先」とする小沢一郎・前幹事長の方針のもと、これまで新人議員は地元回りが主体だった。昨年の総選挙でともに初当選した斎藤氏と石山敬貴氏(衆院宮城4区)は、金曜の夜に東京から新幹線に飛び乗って地元に戻り、あいさつ回りや集会をこなす。月曜は朝に辻立ちし、再び東京に向かう生活だ。

 斎藤氏は「地元の人の声を聞くのが一番の勉強になる」としつつ、その声を国政に反映できないことに葛藤(かっとう)を感じていた。「国民から負託されて国会議員になったのに、意見を届けることもできない」

 政調のある自民党政権では、新人議員も国防・外交・農林といった各部会などに属して政策に携わる機会があった。だが民主党政権で政策決定に関与できるのは事実上、各省の政務三役だけ。自治体や業界団体などからの陳情窓口も党の幹事長室に一本化され、無役の議員たちは政策に関与できなかった。

 温暖化対策を訴える気象予報士の斎藤氏は、国会で環境委員会に所属。温室効果ガス25%削減を目標にした地球温暖化対策基本法に携わった。だが「閣議決定された法案がポンっと降りてきて、それを審議するだけ。政策を作ることはできないし、最初はとにかく驚いた」。

 対照的なのは、石山氏が所属する農林水産委員会だ。「全員参加でどんどんやらせてもらえる自由闊達(かったつ)な雰囲気」という。理化学研究所でコメを研究していた石山氏は、党の政策研究会で戸別所得補償小委員会の事務局長を務め、モデル事業作りにもかかわった。「農水は異例。委員会ごとに環境がまったく違う。1年生には専門家が多いのに、それを生かし切れずにいた」と話す。

 国会会期末の16日。温暖化対策基本法案が廃案となってしまい、斎藤氏は肩を落とした。「けれど、次は一から政策を作れるのだったら不幸中の幸いかもしれない」。両氏ともに政調の復活に共感し、党代表選では菅氏に一票を投じたという。

 参院選で民主党から立つ予定の候補者はどうか。

 現職の桜井充氏は連合宮城の集会で「新しくできた政調で『代理』の要職に就くことができた。これまでは意見を頂いても実現できなかったり、主張が通らなかったりすることがあったが、皆さんからの意見を反映できる。ご恩返しができる」とあいさつ。報道陣には、党内が活性化することへの期待感を示した。

 新顔の介護アドバイザー、伊藤弘美氏も歓迎している。専門の介護関係の政策を立案するため、「当選できれば、社会保障系に入って頑張りたい」と話している。

◆キーワード
 政策調査会(政調) 党ごとに政策や法案を立案する機関。自民党政権では、党の政調と総務会の了承がなければ国会に法案を提出できなかったため、政策決定が党と政府の二元体制になり、「族議員」を生み出すことになるとも指摘された。このため民主党は政調を廃止、政策決定を内閣に一元化していた。

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