テレビ・新聞が報じない上海万博の舞台裏
経済援助は合わせて9100億円也
一人勝ち中国にいまだ「偽装ODA」援助して欲しいのはこっちの方だ
(SAPIO 2010年6月9日号掲載) 2010年6月24日(木)配信
つまり「日中21世紀交流」は現実には外務省のチャイナ・スクールの重鎮が仕切るというわけなのだ。彼は長年、日中関係を仕切ってきた経世会の橋本龍太郎元首相らから寵愛され、その一方で、中国に対する迎合的姿勢が世論の厳しい反発をうけていた人物でもある。2006年に中国大使を退任し外務省を離れ、その後、新日鉄に天下り、顧問の椅子についていた。
そして彼は昨年11月、もうひとつ外務省の有力な機関のメンバーに復帰している。それが日本と中国の両国政府の諮問機関「新日中友好21世紀委員会」である。昨年11月この委員会の委員が刷新され、新メンバーが選出された。日本側の座長は西室泰三・東京証券取引所グループ取締役会長だが、事実上のトップは阿南氏であることは言うまでもない。
注目されるのは中国側の顔ぶれだ。座長が唐家璇元外交部長(外相)なのだ。彼は田中眞紀子元外相に首相の靖國参拝を止めろと「厳命」したことが知られる中国外交部の対日プロパーで、すでに外交部長と国務委員を正式に引退した人物である。その彼が再び、中国の対日外交に影響をもつ諮問機関のトップに就任しているのである。
唐と阿南。ふたりは小泉元首相のODA中断に強く反対した経歴を持つ。経済援助の再開と時を同じくして、過去ODAに直接関与していた人物も復活してくるという構図なのである。
今後は中立色を装う21世紀委員会で、「中国の環境対策は日本にとっても有意義であり、アジア全体のためにも両国は協調して対応すべき」との提言が出されるはずだ。さらにこの動きを財界とマスコミがバックアップして、世論が形成されるだろう。もう流れは作られているのである。だがこれで問題は終わらない。
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