テレビ・新聞が報じない上海万博の舞台裏
経済援助は合わせて9100億円也
一人勝ち中国にいまだ「偽装ODA」援助して欲しいのはこっちの方だ
(SAPIO 2010年6月9日号掲載) 2010年6月24日(木)配信
そして民主党政権に代わった後の昨年11月、「日中省エネ環境基金」の設立提案が中国側からあった。中国は中国で、新華社系列の時事週刊誌『瞭望』(2009年6月8日号)のなかで、中国人の日本専門家がはっきりと「基金は日本の過去のODAに代わる新機構である」と断言している。
日中省エネ環境基金について、新聞は突っ込んだ背景を説明していないため、読者にはこれがODA再開のための受け皿であるという事実が全く伝わらない。この団体の肝は、中国政府が日本と同じように出資を提案していることだ。それは日本だけが一方的に援助するのではなく、中国もちゃんとお金を出していますというポーズなのだ。「偽装ODA」を側面支援しているのが、「青年交流」である。「戦略的互恵関係」を確認した前述の2006年の安倍訪中を機に、外務省を中心にして始まった「日中21世紀交流」(後に「21世紀東アジア青年大交流計画」に拡充)。これが現実には経済援助再開のための公費を使ったODAのための“地ならし”なのである。
中身は、日中高校生の相互短期訪問、さらに中国の高校生の日本へのホームステイというものである。いまさら、こんなものを公費でやったところで、効果は期待できないと思われるのだが、背景を見るとある事実が存在する。
それは、こうした交流事業の担当機関が外務省官僚の天下り団体として有名な「国際交流基金」で、ここに「日中交流センター」なる組織が誕生していることだ。そして、2009年7月に所長に就任したのが阿南惟茂前中国大使である。
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