消費者金融の会社を規制する改正貸金業法が、18日から完全施行になった。個人への貸付額を年収の3分の1以下に抑える総量規制が導入され、貸付上限金利は29.2%から20%に下がった。
お金の貸し借りは、当事者の間で金額や金利を決めるのが大原則である。とはいえ、借りすぎた人の生活が破綻する多重債務問題を解決するため、2007年1月から改正貸金業法が段階的に施行されてきた。これにより貸金業への新規参入が厳しくなり、多重債務問題は改善の兆しも見えてきた。
5社以上から無担保・無保証の借り入れがある個人は、07年3月には借り手全体の14%だったが09年12月は5%に下がった。この傾向が続くかどうか注視したい。
一方で、これまで問題なく返済してきた借り手にも目を向ける必要がある。規制のあおりで返済力のある人の資金繰りまで苦しくなっては、経済に副作用が出かねない。
日本貸金業協会によれば、総量規制に触れそうな借り手は全国に約600万人いる。こうした人たちは借入額を年収の3分の1以下に減らすまでお金を借りられない。
個人事業主は簡単な事業報告書を貸金業者に出せば、新規の借り入れが100万円以下の場合に限り総量規制の例外扱いになる。しかし民間の信用調査会社が聞き取り調査をしたところ、約半数の企業が改正貸金業法で資金繰りが苦しくなり、倒産が増えると予想した。
生活費の足しにするための借り入れは、手続きが厳しくなった。1社からの借り入れが50万円を超える場合には、年収証明が求められる。収入のない専業主婦がクレジットカードなどでお金を借りる際は、配偶者の同意書も必要になった。
煩雑な手続きを避けて簡便に見えるヤミ金融の利用が増え、反社会勢力の懐にお金が流れるようなことはあってはならない。
改正貸金業法には、必要に応じて規制の内容を見直す条項がある。まずは金融庁が都道府県と連携し、全国の企業や家計の資金繰りを把握する体制を整えることが必要だ。
そのうえで、個人事業主の資金繰りが苦しくなっているようなら迅速に手を打ちたい。短期のつなぎ資金に限り総量規制を緩め、上限金利を超える貸し付けも認めるなどの手立てが考えられよう。
多重債務の背後にはお金に関する知識不足や、過剰消費といった問題もある。教育やカウンセリングなど長期の対策も怠れまい。
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