参院選全体の選挙結果に大きく影響し、スタートしたばかりの菅内閣の命運も左右するのは、1人区だ。複数区は与野党が議席を分け合う傾向があり、比例区も予想外の激変はあまり見られない。だが、1人区は風の影響を受けやすく、オセロゲームのように議席がひっくり返る。
例えば、2001年は、小泉ブームに乗った自民が1人区で野党相手に25勝2敗と圧勝し、全体の獲得議席も自民64対民主26と大勝した。逆に1人区で14勝13敗と接戦になった04年は、49対50と競り負けた。6勝23敗と大差を付けられた07年は37対60で、当時の安倍内閣は1カ月半後に退陣に追い込まれた。
今回初めて与党として参院選に臨む民主は1人区での公認候補の擁立にこだわった。
07年は21選挙区に公認を立てたが、秋田、富山、愛媛、宮崎、沖縄で社民や国民新などと無所属候補を推薦。この5選挙区では全勝を果たした。民主が弱いとされる地方の1人区では野党共闘に頼った形だ。しかし、今回は29選挙区中、香川と沖縄を除く27選挙区で公認を立てた。07年に社民と民主の対応が分かれた大分、国民新の公認がいた群馬、島根でも、今回は民主が公認を擁立した。
自民もすべての1人区で公認を立てた。07年の大敗で現職が大量に落選。16の県連が公募を実施したこともあり、新顔が立候補する選挙区は07年の9から16と過半数を超えた。そのうち12で民主公認・推薦候補より若い候補者で新生自民をアピールする。
1人区では、連立政権から離脱した社民の票の行方も焦点。民主との共闘が続く香川以外は同党候補の推薦を見送った。自民と連立を組んできた公明は「選挙区ごとに対応する」としており、こちらの動向も目を離せない。