有害メディア対策。
◎ここ数日、
    「青少年有害社会環境対策基本法案」に関する議論が高まってきました(毎日新聞のサイトにある法案の全文)。自民党が今国会へ提出を目論んでいるからなのですが、これに関しては私がこの話を最初に見つけた2000年10月に、次のように書いています。他の話題も含めての部分だったので、必要なところだけ抜粋。些細ですが法案の名称が修正されています。省庁の名称も当時のままです。
・先日、
    読売新聞に気になる記事を見つけました。参議院自民党が「青少年社会環境対策基本法」なる法案を提出するようです(10月15日・解説面)。既に郵政省や文部省が、TV番組やゲームソフト、インターネットコンテンツにおける過激な性・暴力表現を規制しようと言う動きを見せ始めていますが、この流れに乗ったものと言えるでしょう。記事によると、「急激な情報化の進展と過度の商業主義的風潮の蔓延により弊害が深刻化し、増大している(記事より)」として、「健全な育成を阻害する恐れのある社会環境からの青少年保護」を目的に掲げているそうです。
・最大の柱は
    内閣総理大臣や都道府県知事が必要と認めた場合、事業者に指導・助言・勧告でき、従わない場合はその旨を公表できる」と言う規定との事。この法案では、所謂「不健全図書」を中心とした出版物に限らず、放送番組や出版物、テレビゲーム、ビデオソフト、インターネットなどの各種メディアを想定しているようです。
・記事では、
    この法案の背景にある幾つかの事件や、それを送り出すメディア側の動きを追っていますが、放送・出版業界の動きを書いてはいるものの、ゲーム業界については一言も触れていません。現状では、CESAが過激な表現を含んだゲームソフトに注意喚起マークをつける、と言う行動に出ていますが、この法案が仮に成立すると、その様なマークをつけたゲームソフトの幾つかがこの法案によって何らかの対応を迫られることになるのではないかと思います。そうなる前に、ゲーム業界も単なる注意喚起にとどまらない、もっと具体的な行動を起こすべきだと思います。法案が成立してからでは、手遅れです。

◎で、
    3月9日付の朝日新聞に、この法案に関しての記事が掲載されていたので目を通してみました。法案にも目を通しての印象。

こんな法律は何の役にも立たない

◎法案そのものの
    詳細に対するツッコミはもっと上手な人がいると思いますのでそちらに任せて、ココでは記事の中心になっている自民党本部で開かれたこの法案についての会議(議題は民間放送連盟に対するヒアリング)に出席した議員の発言に対するツッコミを少し入れておきたいと思います。新聞の記事を丸ごとHPでコピペすると問題になるらしいので、そこにあった発言を引用しながら。
●10の番組が良くても1つ悪ければ駄目だ。
中曽根弘文議員
    国会の先生は一人や二人悪いのが居ても良いんですね?とか言ってみる。この発言にも問題点が。あとで。
●変な興味をそそったり、あらぬ刺激を与えたり。
 (法規制にいたる)状況を理解していないのではないか。
森岡正宏議員
    業界がどれほど苦労してきたか理解していないようです。と言うよりは業界のこれまでの努力が余程信用できていないようです。自分のハラの中探られるのがそんなに嫌ですか?

◎テレビ・出版、
    テレビゲーム、いずれも業界内で紆余曲折の末自主規制が進んでいます。しかし、業界に対策協会の設置を義務付け、協会に大臣らが指導・勧告できるとするこの法律は、これまでの各業界の努力を無視するものであり、また憲法で保障された「表現の自由」を侵害する可能性が極めて高いと考えます。
◎また、
第一章 総則
第二条 
2 この法律において「青少年有害社会環境」とは、青少年の性若しくは暴力に関する価値観の形成に悪影響を及ぼし、又は性的な逸脱行為、暴力的な逸脱行為若しくは残虐な行為を誘発し、若しくは助長する等青少年の健全な育成を阻害するおそれのある社会環境をいう。

    条文では肝心かなめの「有害」の基準については明確でなく、この法案の中心になっている「青少年を取り巻く有害な環境対策の推進に関する小委員会」委員長の田中直紀議員は「青少年育成国民会議(※)の調査で『有害』とされた図書やビデオ」を目安として事業者が作る対策協会が自主協定を策定し、有害の判断にあたる、としてます。が、当の本人は「PTAの方から聞いてはいるが私自身は見ていないから」とその基準を示していません。つまり、本人も良く分かっていないものを有害と定義してくれ、と言ってる訳です。こんな無責任なことで良くも話が進められるものです。
    ※法案第三章第二十一条で設置される「青少年有害社会環境対策センター」で行なう
◎それから
    不思議なのは、田中議員は「自主努力を促す法律であり、『規制法』ではない」と言っているのですが、その割には業界に対策協会の設置を義務付けて口出しできるようにしておいて、別個に対策センターを設置……田中先生、議員辞めたら対策センターの顧問に就任して甘い汁吸うつもりですかぁ?

◎…( ̄〜 ̄;)
    ゲーム業界の動きが無い…引っかかりまくるだろうに…。
◎ただ、
    テレビゲームに関してだけ個人的な予想を述べておくと、タイトル発表時点で有害か否かを判断しないと、大臣が対策協会に指導をする頃には商品としての価値を実質的に失って指導する意味が無い、って事になっているんじゃないかと。
◎本当は
    X−BOXの事書いておきたいんですけど、別の機会に。
(2002/03/10)