2010-06-23
■岡崎市立中央図書館librahack事件まとめ
経緯に関するリンク
http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/national/update/0525/NGY201005250031.html
librahackさんによるまとめ http://librahack.jp/readme/
図書館への電話聴取 http://www.nantoka.com/~kei/diary/?20100622S1
DoS攻撃と業務妨害に関する法的な原則論
実体面(「業務妨害罪」の成否)
・客観的に「妨害行為」と「結果(業務の支障)」、それと「因果関係」が存在(認定)されなければ、主観面を問うまでもなく、業務妨害罪は不成立。行為・結果とも「業務妨害罪として刑事責任を問うに値する程度の」という閾値あり。
・客観面が認められても、「妨害行為」と「結果」のそれぞれに対する故意がなければ業務妨害罪は成立しない。
・が、妨害行為(過剰・不正なアクセス)にも結果(サーバ障害等)にも定量的な水準・限界はなく、ケースバイケース。
手続面(逮捕、勾留、起訴・不起訴等)
・逮捕は、犯罪の嫌疑(「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由)があれば原則可能で、「明らかに逮捕の必要がない」と裁判官が認めない限り、逮捕状は出る*1のが字面どおりの解釈。
・しかし、事件捜査は任意捜査(在宅のまま被疑者を呼び出しての取り調べ等)が原則であり、逮捕という国家権力に基づく実力行使は「任意捜査では所期の目的が達成できない」場合にのみ発動されるべき、というのが憲法上要請される解釈運用指針になる*2。
・逮捕*3の後、勾留*4される場合、さらに要件は絞られる。つまり「引き続き身柄を拘束する必要性」がなければ勾留請求は通らず、逮捕から72時間以内に釈放される。
・逮捕、勾留のいずれの段階でも、裁判官のチェックが入る。裁判官の審査がすべてザルだとか警察・検察の言いなりだとかいうのは陰謀論の一種。
本件の「逮捕→勾留→起訴猶予処分による釈放」の手続に違法な点は見当たらない
報道記事とlibrahackさんのまとめ記事を読み合わせても、本件でlibrahackさんに対する逮捕状が出されてしまった(そして勾留され合計21日間身柄が拘束されてしまった)ことについて、刑事手続の観点から違法があったと判断できるだけの情報は読み取れませんでした。
もちろん、もし仮に法的に争った場合に、要件を満たしていない違法な逮捕だったと認められる可能性は否定されませんし、私の意見として否定するつもりもありません。
また、純粋に法的な観点で違法性がなかったとしても、「不当な権力行使だったのではないか」という批判は当然可能です。
私も、本件においては任意でlibrahackさんから事情聴取を行うだけで十分であり、逮捕・勾留の必要性はきわめて低かったはずだと考えています。ここはまず強調。
(つづく。次のエントリに改めるかも)
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