2006.07.28
ニューヨーク・タイムズの魅力

アメリカ班のTです。久しぶりに編集長の代打が回ってきました。それにしても、このブログの打線は代打ばかりですね。

さて、私は新聞、雑誌、WEBなど様々なメディアを担当していますが、読んでいていちばん面白いのは「ニューヨーク・タイムズ(NYT)」です。偏向報道が多いと評されることもある同紙ですが、ピュリッツァー賞を90回以上も受賞したという歴史は伊達ではなく、記事のクオリティの高さに唸らされる毎日です。
ただNYTで私が気に入っているのは、記事のクオリティだけではなく、以下挙げるような「日本人の感覚では、ちょっとヘン」なところです。

1. 思わぬ記事が1面に
日本の新聞の1面といえば、やはり政官財そして海外の大ニュースと相場が決まっているもの。NYTも基本はそうなのですが、ときどき変な記事が1面を飾ります。心温まる話だったり(盗まれた車が何十年ぶりかに帰ってきたとか)、びっくりする話だったり(長期間の昏睡から目覚めた人の話だったり)、どれも面白いのですが、読み終えて「この記事が1面?」と首をかしげてしまいます。

2. 懲りすぎてよくわからない見出し
文学的とでもいいますか、NYTの見出しはそれを読んだだけでは何の話やらわからないことがあります。全国紙USAトゥデイの見出しのストレートさと比べると、その差は一目瞭然。何の話か知りたいために本文を読むという、ちょっと本末転倒な読みかたをしなくてはいけません。

3. 辛辣な批評
たとえばレストラン情報。雑誌ならともかく、日本の新聞がレストランを紙面でけなすことなどないでしょう。ですが、NYで新規開店したレストランオーナーは、いつNYTの覆面グルメ記者がやってくるかとビクビクしているそうです。絶大な影響力を持つNYTのグルメコーナーでどう評価されるかで、店の未来が決まってしまうからです。実際、NYTで酷評されて客足が途絶え、閉店を余儀なくされた店も多いとか(その逆ももちろんあります)。ミュージカルや演劇もしかり。独善的だと批判されることも多いこうした批評を続けるNYTの姿勢には(色々な意味で)頭が下がります。

こんな「個性」あふれるNYTの魅力を、日本の読者の方々にうまく伝えられるように編集していきたいと思っています。

060728_01ぶ厚いことで有名な日曜版も、航空便で編集部に届きます

コメントをどうぞ

コメントは送っていただいてから公開されるまで数日かかる場合があります。
また、明らかな事実誤認、個人に対する誹謗中傷のコメントは表示いたしません。
ご了承をお願いいたします。

PAGE TOP