発生農場周辺建設工事中断相次ぐ 再開見通せず

(2010年6月21日付)

 口蹄疫の影響で、発生農場などの近くで進められていた建設工事が中断されるケースが相次いでいる。作業車が行き来することで感染拡大を招く恐れがあるためで、県が中断を決定または検討している建設工事などは宮崎、都城市などで16件(17日現在)に上る。東九州自動車道の建設工事でも、発生が集中する川南町内で工事が中断。再開の見通しは立たず、長引けば工期への影響も懸念される。

 県土整備部技術企画課によると、発生農場から半径10キロ圏内の移動制限区域で進める公共事業434件のうち、中断を決定または検討しているのは建設工事13件、測量など業務委託3件。発生農場でなくても畜舎からあまり離れていなければ、中断の対象としている。

 建設工事の中断は、感染が都城市や宮崎市に飛び火したことを受け、10日以降に相次いだ。宮崎土木事務所管内が5カ所で最も多く、このうち宮崎市跡江の発生農場から1キロの距離にある跡江川橋下部工事は11日から中断。大淀川をまたぐ西環状線の一部となる予定だが、18日にも周辺で感染疑いが確認され、工事再開には時間を要しそうだ。

 中断の是非は、工事の緊急性も加味して各土木事務所などが判断する。同課は「業者の経営にも影響を与えるので、慎重に判断している」とする。

 また、西日本高速道路九州支社宮崎工事事務所(宮崎市)によると、5月25日から川南町内の6カ所で東九州自動車道の建設工事がストップ。いずれも発生農場から半径150メートル以内にあり、県から防疫対策で協力するよう依頼され、受け入れた。移動制限が解除される時期をめどに再開したい考えを持つ。

 中断した工事個所を含む高鍋―都農(13キロ)の供用開始は2012年度を予定。同事務所は「(中断が)1、2カ月程度であれば取り戻せる。今のところそこまで影響はなさそうだが、長引けば分からない」と見通している。

【写真】口蹄疫発生を受け、中断されている西環状線・跡江川橋下部工事の現場=宮崎市跡江