今月9日に全国で初めて一部の罪を無罪とした裁判員裁判の判決について、検察は控訴しない方針を固めました。
裁判員が審理したのは去年、当時19歳の元少年が東京・多摩市などで仲間の男とともにひったくりをして女性にけがをさせたほか、被害者のカードで量販店からブレスレットをだまし取った罪に問われた事件です。東京地方裁判所立川支部は今月9日、元少年の詐欺の罪について、「捜査段階では関与を認めたが、供述がきわめてあいまいで、犯行を裏付ける証言をした店員らの供述も完全には信用できず、元少年がかかわったかどうか疑いが残る」と判断し、裁判員裁判としては全国で初めて無罪を言い渡しました。強盗傷害の罪についても窃盗の罪にとどまると判断し、元少年に執行猶予の付いた有罪判決を言い渡しました。これまで裁判員裁判の判決に検察が控訴したことはなく、初めての無罪への検察の対応が注目されましたが、東京地方検察庁は「覆すのは難しい」として控訴しない方針を固め、一部の罪について裁判員裁判の無罪判決が確定することになりました。