「これが不老不死の肉体か。見た目は普通の少女だが……」 
 
(ち……がう。呪い、は……わた…し、は…もう……) 
不老不死の呪いは、完全に解けた。 
ゆっくりではあるけれど、今の私の肉体は成長している。 
男達の間違いを正したくても、この躰はまったく言う事を聞いてくれない。 
 
「見た目は普通でも、中身はドロドロのグチャグチャですね。汚らわしい」 
男は1人ではなかった。 
白衣を着て、マスクを付けた男達が何人も妖魔空間の中に入って来る。 
そして私を犯し、電撃で焼いた妖魔は、そのうちの1人に 
まるで犬のように擦り寄っていた。 
 
(全部、計画されてた、事……だった) 
私が福引に当たったのも、その賞品がホテルの宿泊券だったのも、すべて……。 
菊花が何度も『運がいい』と繰り返していた。 
あれは『運』なんかじゃなく『罠』だと、気付いていれば! 
(うぅっ、悔しい……) 
頭の中が苦しさと悔しさでいっぱいになっていく。 
 
カツン、カツンと耳障りな足音を立てながら 
男達が立った位置は、私の足元の方だった。 
細い触手がスクール水着をめくり上げ、私の体液で汚れた股間部分。 
「ぃ……ぃゃぁ……」 
声らしい声なんて出ない。 
だけど、この男達に見られたくない。 
 
「しかし、人体を見慣れている我々でさえ、えぐい構図だ」 
「まったくですね。糞尿臭い上に、この出血……」 
男達は白く薄いゴム手袋を取り出しながら、冷静に私の肉体を見ている。 
(人間、を…見る、目じゃ…ない……) 
そして、その両手に、ゴム手袋をビッタリとはめた。 
 
「こんな汚いクソガキ、どう見たって普通じゃないだろ。本物の肉便器だ!」 
「汚いのは仕方ないだろう。自分で放尿したんだからな。 
 それより私のペットがこんなに汚れて……まったく、どうしてくれるんだ」 
アソコには、がっぽりと巨大な穴が開いている。 
そこを嫌そうに見ながら、男達が話し始めた。 
「………はぁ。……はぁ、ぅ、あ……はぁ…はぁぁ……」 
その少し上から、オシッコや、血液や、わけのわからない液体で 
私の躰は、見るも無残な状態になっている。 
 
(嫌……言わないで……) 
 
どれだけ生きてきても、心無い言葉に傷付かない人なんて、いない。 
妖魔が可愛く思えるほど、酷い人間だって見てきた。 
だけど、何度経験しても、こういう扱われ方は、辛い。 
「ははっ、それにしてもバカな女達だ。 
 もう1体の方は、今頃串刺しにでもされてたりしてなぁ!?」 
私の顔を見下ろして、男が嘲り笑う。 
 
「………っ」 
過去にこういう事が、なかったわけじゃない。 
だけど菊花がいたから……2人でいたから、切り抜けられた。 
(菊花を待っていれば、こんな事にはならなかったのに) 
瀕死の状態の今、菊花の事が気がかりだった。 
(お願い……逃げて、菊花) 
祈る私の前で、男達はテキパキと準備を進めていく。 
 
「……よし、内臓はちょうどいい具合に焼け爛れているな」 
「これならば、剥離も可能でしょう」 
 なんの話をしているのか、よく分からない。 
ただ私にとって、いい話のはずがなかった。 
 
「それでは、オペを開始する」 
 
手術台も、器具もない、不潔な場所で、男はそう宣言した。 
 
 
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