ヌチュッ、ニュルニュルッ、ビュルッ! 
「あああああっ!」 
何本もの細い触手が、恥丘の筋を舐めた。 
「んっ、ひうぅぅん……!」 
ヌルリとした体液が、剥き出しの粘膜に塗り込められる。 
「ひ、ひぃ、はぁ……んぅ、く、うぅぅ……はぁ、ひはぁ」 
躰がビクビクと小刻みに震え始めていた。 
 
妖魔の持つ体液には、催淫効果がある。 
私を縛る太い触手も、恥部を舐める細い触手も 
粘ついた半透明な体液を、その皮質から垂れ流していた。 
(……あ…熱い) 
たとえば小さな毛穴。 
たとえば皮膚の細胞。 
そんな場所からも体液は侵入し、私を内側から侵していく。 
(躰がぁ、熱く、なって…しま、う……) 
 
ニュルリッ。 
「ひぎっ!」 
催淫剤に意識を奪われた瞬間だった。 
「あ、ああ、ぁぁぁ」 
なんのためらいもなく、何本もの細い触手が強引に膣口に侵入した。 
「ひっ、あっ、やっ!いやあぁあぁぁぁ……」 
 
それは感じた事のない感覚だった。 
(な、に、これぇ) 
触手が私の中に入ってくるだけで、背筋が蕩けるような甘さが全身に走り。 
「んひっ、いぃぃっ!あっ、あうっ、うっ、や…いやあぁぁっ!」 
触手の通過する入口が熱く疼き腰が跳ねる。 
 
(あっ、熱い……躰が、熱く、てっ……ひっ、あくぅぅ、んっ!) 
濁流に似た快感が全身を襲っていた。 
ビクン、ビクンと、躰が勝手に跳ね続ける。 
「ぅ……あぅ……ひ、はぁ……あ、うぁぁ……」 
涙が溢れ、涎が唇をだらしなく濡らした。 
(あひ、いぃぃ……き、もち、い…いぃぃ……) 
 
手足を縛る触手の内の何本かは、薄いスクール水着の内側を 
まるでタコかイカのような緩慢で気持ち悪い動きで、這い回った。 
「や…いやあぁ、あ、うぁ、あああ」 
気持ち悪いと思った。 
この拘束を外して、今すぐ逃げ出したいと思った。 
 
……グチュッ。 
「はひぃっ!?」 
 
それなのに、私の躰は……。 
 
ヌチュッ、ニュル、グプッ……ズズズニュッ。 
「あ……アアアッ」 
 
細い触手が、膣内を撫でる。 
形を、弱く敏感な部分を確かめるように、あちこちをフニフニ押した。 
狭い膣内はすぐに触手で埋まり、お腹が膨れてくる。 
それなのに、まだまだ満足できない触手は、私の躰の奥へと 
硬く閉ざされた子宮口へと、その先を伸ばした。 
 
ズチュニュルッ。 
「んぎっ、いぃぃっ!」 
 
誰からも弄られた事のない子宮口を、細い触手が揉み解そうとしていた。 
「はひっ、あひっ、ひっ……はぁ、はぁっ、アッ、うぁぁ」 
小さな子供が、その指で母親の感触を確かめる仕草と似ている。 
小さく細く、けれどヌルヌルした触手は 
硬い子宮口をヌチュヌチュと揉み、膣内との付け根を何度もなぞった。 
「や…いや、あ、んあぁぁ、やぁぁ……いや、だめ、はひっ、だめぇぇ」 
涙が溢れて、額や前髪を濡らす。 
 
(きっ、気持ちいい、気持ちいい、だめ、だめ!こんなのっ、だめっ!!) 
快感に押し流されそうな意識を必死で引き止めるけど 
次から次へと、恐ろしいほどの悦楽が膣口から侵入してくる。 
(わ、たしぃ……心、も、犯されて、しま…うぅっ……) 
 
ズリッ、ズズッ、ニュププッ! 
「はぁ、はぁ、ア、はひぃ……いあぁぁっ!!」 
胎内をまさぐられ、ヌチャヌチャと恥部を大きく開かされる。 
(もう……もう、躰が…もたない……) 
ヌチュッ……ニチャアァァ。 
「はあぁっ!ひっ、いぃぃっ……!」 
たっぷりの催淫剤でテラテラ濡れた触手が、子宮口に触れた。 
(あたっ……頭が、白く、な…るぅ……) 
 
ほんの1滴の催淫剤でさえ、粘膜に触れれば生物は発情してしまう。 
それが直接、子宮口に触れたら。 
触れたり、したら。 
「くあぁぁぁっ!はっ、んうううぅうぅぅぅぅっっ!!!」 
思考が真っ白に弾けて、アソコがぎゅぎゅうっと強く締まったのが分かった。 
(ひっ、いっ……イイよぉ……気持ち、いいっ……ひゃひぃぃっ!?) 
 
ドクンドクンと、子宮全体が大きく痙攣している。 
まるでもう1つ、心臓があるみたいだ。 
(気持ちいい、心臓が……ある、みた…いひぃぃ……) 
胸の奥にある心臓が、血液を全身に送り出しているのなら 
おへその下にある心臓は、快感を全身に送り出すものなんだろう。 
(かっ、躰、中…うぅ、気持ちいい……) 
 
ヌチュッ……。 
「ひゃうっ……!」 
子宮口をプニプニと、催淫剤まみれの触手が押した。 
(あっ、あっ、んあぁっ、と…とける、蕩けちゃうぅぅ) 
たったそれだけで、全身が温かいゼリーの海にいるような錯覚を受ける。 
ニチャッ、ニュプニュプッ、グプッ、ズリズリッ……。 
「んっ、んひぃっ、いっ、はぁ、はぁぁっ……ぅ、あぅ、はぁ……アァァ」 
今度はズリズリと、子宮口のふちや、付け根、感じるたびに 
じゅく…じゅくっ……と子宮液を吐き出す、いやらしい口。 
そういうものに全身を支配されて、逃げられない。 
気持ちよくて、たまらない……。 
 
子宮口にまで催淫剤をたっぷり塗り込められて、躰がおかしくなりそうだ。 
「誰、か……あ、ひぃ、はぁ、あぁぁ……き、菊…花ぁ」 
他の名前が出て来ない。 
だけど、助けて欲しいわけじゃない。 
 
(お願い……菊花だけでも、逃げ…て……) 
 
それは願い。 
切実な祈り。 
 
(菊花だけ、でも……) 
 
だけど私の小さな祈りさえ、妖魔は許してくれないようだった。 
 
「………!?」 
 
妖気が、格段に濃くなった。 
(何……?いったい、何が来るの!?) 
ゾワッと全身に悪寒が走る。 
空気が変わる。 
妖魔が完全に支配する、魔の空間へと変化していく。 
 
ズズッ……。 
視界の隅の方から、重たい物を引きずるような、不気味な音が響いた。 
「な…に?何が、来る…の……?」 
気付けば、口に出していた。 
その私の問いに答えるように。 
 
ズッ……ズズズスズッ、グズゥッ! 
「ひいいぃいいぃぃぃぃっ!!!」 
 
巨大な緑色の芋虫。 
ソレを見た瞬間の感想だった。 
「い、いや……来ないで」 
 
ソレが現われた途端、肉の腐ったような臭いが辺りに充満した。 
ソレには目がない。 
ソレの口は丸く大きく、その内側には無数の触手が生えている。 
嗅覚が鋭いのか、口のすぐ上にある2つの穴を慣らしながら 
私に向かって近付いてきた。 
 
「来ないでえぇっ!」 
催淫剤を塗られ、慣らされ、イヤラしい愛液を垂れ流す、私の秘所。 
ギチュッ……。 
そこを、妖魔が狙っている。 
 
「は…入らない……そんな、の……絶対に、無理……」 
いつもの私だったら、こんな恐怖を感じる事もなく、きっと妖魔を切り捨てた。 
(でも今の私には、そんな力……ない) 
抵抗なら、やれるだけやった。 
私の力はすべて、妖魔によって弾かれてしまった。 
 
ギチュ、グチュッ。 
「いやあぁぁっ!!」 
蛇が鎌首をもたげるように、その妖魔が頭持ち上げる。 
その口が、触手が、狙っているのは、私の……。 
ビュルッ、ビョルビョルッ! 
「あひいぃいィィィッ!!!」 
私のアソコに、妖魔の頭が突き立てられた。 
 
ニュル、ニュルニュルッ。 
「んあっ、はっ ア アァァッ、ぐっ、うっ、んあぁっ!!」 
ミシミシと下半身が壊れる音がする。 
 
見た目は芋虫に似ている。 
弾力性があり、ブニブニと柔らかい肉質。 
だけどその妖魔の表面は、驚くほど硬い。 
(こわ…れるっ。壊されて、しま…うぅぅっ) 
 
苦しい。 
圧迫感だけじゃない。 
まだ先端が中に入り込もうとしているだけなのに 
喉まで何かが登ってきているような錯覚を受ける。 
「ぐっ、んぐぐっ、くっ、うっ、ふぎっ、うっ、んんんぅっ」 
自分が壊れないように、歯を食いしばって耐える。 
(く…来る、な……) 
 
菊花に、触ってはいけないと言われた、ドクダミを思い出す。 
触ったら、すごく臭い匂いがついてしまうと言っていた。 
(……いくら、似てても、ドクダミは……きっと、こんな 
 臭くなったり、しない…のに……) 
赤い葉脈と、毒々しい緑の葉を持っているのに、花だけは白かった。 
妖魔の色は、ドクダミの葉の色と似ている。 
でも花の名前を教えてくれた菊花は、ここにいない。 
菊花がいないだけで、こんなにも私は……辛く、悲しい。 
 
 
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