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態勢立て直し急ぐ ギラード新首相 オーストラリア (2/2ページ)
退陣したラッド氏は、2007年11月の総選挙で環境政策や日本の調査捕鯨禁止などを公約に圧勝、11年ぶりに政権を奪還した。発足当初は7割近い支持率を得て、先住民族のアボリジニや失われた世代といわれる子供の強制移住問題で政府として初めて謝罪した。また、難民受け入れ基準の緩和を発表するなど保守党政権との違いを出した。南氷洋での調査捕鯨禁止を訴え、5月に日本を国際司法裁判所に提訴するなどした。
しかし、環境政策の目玉の温室効果ガス排出権取引制度の導入に失敗。また、鉄鉱石などの資源会社の超過利潤に課税する新税構想は株価下落を招き、業界だけでなく国民の怒りを買い、支持率が70%台から30ポイント近く急落した。このままでは、選挙が戦えないという声を受けた党内右派勢力が穏健左派のギラード氏を擁立し、今回の首相更迭となった。
同国で1期目を全うできなかった首相は、72年に保守政権から23年ぶりに政権を奪還した労働党のホイットラム首相(当時)が政権運営に行き詰まり、75年に連邦総督に罷免されて以来。11年ぶりに労働党政権を実現したラッド氏も同じ運命をたどった格好だ。