凍結精液使う豚の繁殖法開発
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凍結精液使う豚の繁殖法開発

6月24日 17時57分

技術的に難しいなどとして豚の繁殖現場ではほとんど利用されてこなかった凍結した精液による人工授精について、広島大学と大分県の研究グループが、成功率が高く安いコストでできる方法を開発しました。口てい疫で種豚が処分されても、優良な系統を保存できる方法として注目されています。

凍結精液を使った家畜の人工授精は、簡単に繁殖させることができるなどとして牛では広く利用されていますが、豚では成功率が低く、これまでほとんど利用されてきませんでした。広島大学と大分県農林水産研究指導センターのグループは、種豚を維持するコストの削減につながる凍結精液による人工授精の方法を開発しようと共同で研究を続けてきました。その結果、精液を凍結させる際、事前に薬剤を使って精子を傷つけるおそれのある水分を一定程度取り除くことや、解凍する際に着床を促す成分を補うことで、人工授精の成功率を80%以上にまで高めることに成功したということです。大分県が行った実験では、繁殖1回当たりに生まれる子豚の数は平均で9匹で、コストは自然繁殖の場合と変わらないということです。大分県では、凍結精液を配布する準備を始めていて、すでにほかの自治体から問い合わせがきているということです。広島大学の島田昌之准教授は「1つの優良な系統を作るには、10年程度かかるとされる。この方法を使えば口てい疫で種豚が処分されても、優良な系統を保存できる」と話しています。