日本の財政方針は赤字削減への道筋示さず-S&Pとフィッチが見解
6月22日(ブルームバーグ):日本政府が22日発表した財政方針は、同国の公的債務削減の道筋を十分に示していない。格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスとフィッチ・レーティグスがこのような見解を示した。
フィッチのアジア太平洋ソブリングループのディレクター、アンドルー・コルクホーン氏は東京でのインタビューで、この日公表された政府方針は、「当社が確固たる結論に達し日本が詳細な財政健全化計画を持っていると確信していると言明するのに十分に詳細を示していない」と述べた。
また、S&Pの小川隆平ディレクター(シンガポール在勤)は政府戦略について、ないよりはましなものの、日本の信用力は依然として徐々に低下しているとの見解を示した。発表された政府方針によって投資家の信頼を回復するのは難しいだろうとし、日本の信用格付け「AA」についての見通しを「ネガティブ」に据え置くと述べた。
コルクホーン氏によれば、フィッチは日本の格付け「AA-」についての見通しを、「資金調達の異例の柔軟性」を理由に当面「ステーブル」としている。
菅直人政権の計画は、10年間で財政の均衡を目指す内容。国債発行額の制限や税制改革方針を盛り込んだ。2011年度から3年間の国債費などを除く歳出の大枠を毎年71兆円以下に抑えるとともに、「早期に」税制改革について決定するとしている。
S&Pとフィッチのアナリストはいずれも、菅政権が負債を圧縮できるかどうかは来月の参議院選挙の結果に左右されるとみている。小川氏は9月の民主党代表選挙にも注目すると述べた。
コルクホーン氏は、「選挙前にあまりに多くの詳細を期待するのは恐らく非現実的だろう」とし、「従って、より詳細な計画、骨組みばかりでなく肉付けされた財政再建計画が、恐らく年末までに準備されるのを待っている」と述べた。
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更新日時: 2010/06/22 17:38 JST