民主党政権を問う　消費税も争点　参院選スタート

　第２２回参議院選挙が２４日、公示され、７月１１日の投開票に向け、各党の論戦が始まった。昨年９月の政権交代後、初の本格的な国政選挙で、民主党政権の中間評価となる。民主党は鳩山由紀夫前首相が米軍普天間飛行場の移設問題や「政治とカネ」の問題で辞任。後継の菅直人首相は「消費税１０％」に言及し、与野党協議を呼びかけるなど「消費増税」が大きな争点だ。一方、自民党など野党は、民主党の政権運営の混乱や昨年の衆院選マニフェストの違反を追及する構え。国民新党と合わせて与党が過半数（非改選を含め１２２議席）を維持できるかどうかも焦点だ。

　首相の第一声は大阪市。冒頭、８カ月半で辞任した鳩山前首相について「副総理として支えきれなかった責任を痛感している」と謝罪。そのうえで「鳩山前首相は『もう一度政権交代の原点に立ち戻ってほしい』と辞任した。その道を引き継いで頑張り抜きたい」と語り、民主党政権への信認を訴えた。

　民主党は６０議席獲得すれば単独過半数を確保。国民新党など与党系の非改選４議席を合わせ、５６議席以上となれば与党で過半数となる。菅首相は「現有議席の５４以上」を目標にしており、議席を上積みできるかどうかが政権の行方を決める。

　民主党政権最大の看板は、事業仕分けで「公金の無駄遣い」を浮き彫りにしたことだ。首相は「仕分け人」として注目を浴びた蓮舫参院議員を行政刷新担当相に任命。事業仕分け第３弾として、１０月中旬に現在１８ある国の特別会計に切り込む方針だ。

　政権が無駄削減にこだわるのは、首相が掲げる財政健全化に向けた消費税引き上げに理解を得るためだ。首相は第一声でも「消費税を上げないで済むなら済ませたい。だが、このままではギリシャのように財政が破綻（はたん）する。そういう事態だけは何としても避けたい」と強調。そのうえで、低所得層への負担軽減策として、軽減税率の適用や給付つき税額控除に言及した。

　首相は選挙戦には不利となりかねない消費増税を参院選の争点に据え、参院選を勝ち抜いて本格政権として財政健全化に取り組む構えだ。

　一方、野党第１党の自民党は安易な消費税論議には乗らず、あくまで「政治とカネ」をめぐる問題や普天間移設問題の迷走を追及する方針。

　谷垣禎一総裁はこの日、甲府市を第一声の場所に選んだ。山梨は民主党の輿石東参院議員会長に自民新顔が挑む選挙区で、反転攻勢の象徴選挙区と位置づけた。

　谷垣氏は民主党政権について「普天間の迷走で国際社会から信頼を失い、ばらまきのマニフェストと政治とカネをめぐる問題で国民と政治の信頼の基礎を壊した」と批判。自民党は参院選公約に「消費税１０％」を明記しているが、谷垣氏は「次世代へのばらまきをやめ、社会保障制度をきちんと整え、将来の国民に責任を持つことを明らかにする」と訴えた。

　谷垣氏は今月中旬に「与党の過半数をつぶすのが野党の使命。できなければ野党をリードする立場として責めを果たせなかったことになる」として、与党を過半数割れに追い込めなければ党総裁を辞任する考えを表明。今回の参院選は谷垣氏にとっても進退をかけた選挙戦となる。