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致命的だった殺処分の遅れ 山田農相一問一答
(2010年6月24日付)
山田正彦農林水産大臣の本社単独インタビューの一問一答は次の通り。
―農水省は22日、現地調査チームを発足させた。これまであった疫学調査チームとの仕事の分担は。
山田 国や県、民間の獣医師も参加しており、現地を歩き、人から聞いて徹底的に調査をやってもらいたいと考えた。東京の疫学調査チームは専門的な学者がほとんどで、科学的知見に基づいた判断をお願いしている。
―感染経路は発生地域内での感染拡大、飛び火先に加えて、国内にどのように持ち込まれたかという「水際」の3パターンがある。調査の優先順位はどうするのか。
山田 まずは、農場から農場になぜうつったのか。感染経路が分かれば、すぐに対策が打てる。ワクチン接種分は収まってきたが、外側にいつ飛び火するか分からないので発生地域内、飛び火先の感染経路をまず調べたい。川南でクラッシュしたのは埋却が遅れたのが原因。なぜ遅れたか、一度検証が必要。(水際については)香港、韓国などと同じウイルスであり、外国から入ってきたといえる。
―口蹄疫対策特別措置法では地域再生策として「基金」創設なども盛り込まれた。
山田 国でやれる部分はやるが、限界がある。基金創設にしても内閣で決めていくが、どういう形で支援できるかはこれからの話。すべて(の産業)に及んでいるので全部にいくわけではない。
―具体的な振興策は。
山田 商工業者は大変だと思う。雇用調整助成金による雇用確保はすぐにでもできる話で、失業保険もできるだけ手当てする。例えば雇用保険の支払いができていなければ、後払いでもかまわないので保険を先に出すとか、いろいろな手当てや資金の借り入れも大事。これだけの災害だから2、3年の元本、利息分含めての返済猶予は最も効果があり、大事だ。金融・郵政改革担当相にもお願いしている。
―今回の教訓は何か。
山田 PCR検査(遺伝子検査)をしなくても、写真でほぼ100%判定可能になった。発生すれば2時間以内に通報し、現場に駆け付けるマニュアルを用意する。24時間以内に殺処分できれば、この前の飛び火と同じように対応できる。出たらすぐたたく。これができれば口蹄疫は防止できる。
―マニュアルの内容については。
山田 埋却地を個人で確保できない場合は、国有地、県有地に埋める形も盛り込む。あらかじめ埋却地を確保するように各都道府県に通知しているが、それでも駄目なら公有地に24時間以内に埋める。
―埋却地確保について。
山田 これからの畜産は環境の問題も考え、ある程度農地・用地を確保しないと簡単に認めるわけにはいかない。アジアの口蹄疫まん延を考えるといつ発生してもおかしくない状況。畜産経営はそれだけの覚悟をしないといけない。
―埋却地の確保に関しては周辺住民の同意は必要ないという立場をとってきた。
山田 各町長などにも何度も「同意はいらない。理解を求めてくれ」と言ってきた。同意を取っていたら埋却できなくなり、口蹄疫ウイルスがまん延したらその損失は町全体にかかってくるのだから。
―初動防疫態勢を振り返ってどう感じているか。
山田 国の指針通りにすぐ殺処分や埋却を行ったえびの市や都農町の最初の例では、うまく封じ込められた。一方、埋却地が確保できず殺処分が間に合わなくて放置した所はかなり(感染が)出た。初動で埋却、殺処分が遅れたのは致命的だった。
―政府の現地対策チーム設置が遅れたのでは。
山田 ワクチン接種は事務方ではなく政治家が現地で判断、説得しないといけない。あれより早く(設置すべきだった)という声はあるが、あの時ですらみんな反対したのに、それより前ではワクチン接種に協力いただけたか。ぎりぎりのタイミングだった。
―国と県の連携は。
山田 対応をもう少し緊密かつ迅速にできればよかったのかも。第一義的に県の責任。県がえびのみたいに十分にやってもらえれば良かったのだが、川南で埋却が滞留してしまった。あの時点からステージが変わった。あのままワクチンを打たなかったらと思うと少しゾッとする。
―22日から都城、日向市で清浄性確認検査が始まった。一定範囲で家畜の目視や抗体検査などを行っているが、ワクチン接種を行った地域は家畜が全部殺処分されていなくなる。どのように行うか。
山田 すべての偶蹄(ぐうてい)類の殺処分と、今まで家畜がいた施設の消毒の徹底が必要。一番気になっているのは敷きわら、堆肥(たいひ)、ふん尿の処理がどうなっているのか。それについての清浄性の検査をどうやればいいのか。牛豚等疾病小委員会の疫学調査チームに早く結論を出してもらう。
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