24日の東京債券市場で、長期金利が一段と低下(債券の価格は上昇)した。終値は2003年8月以来、6年10カ月ぶりの低水準。欧米の経済の先行きへの不透明感が増し、投資資金が比較的安全な日本の国債に向かったことが原因とみられる。
長期金利の代表的指標である新発10年物国債の流通利回りは3日続けて下がり、終値は前日より0.04%幅低い年1.125%になった。
急低下の第1の要因は、欧米の経済の先行き不透明感が強まったことだ。
23日の欧米債券市場でも米国やドイツ、英国などの国債が買われ、長期金利は低下した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の長谷川治美シニア債券ストラテジストは、「相対的に安全である国債に資金を向ける動きが加速している」と話す。
日欧の主要国が財政再建を推し進める方針を相次いで打ち出したことも「一気に金利を低下させた」と、みずほ証券の野地慎シニアマーケットアナリストはみる。
日本では消費税増税を巡る議論が活発化。英国も22日、増税などによる財政再建策を発表した。財政再建が進めば、国債の償還はより確実になるので、買いが膨らみ、金利を低下させたというわけだ。(寺西和男)