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◇◇アメリカの手話通訳者の悩み◇◇

〜〜What Do Interpreters Hate?〜〜

◆「手話通訳者が、ろう者が相手の言うことを理解できるようにボランティアとして申し出るのはすばらしいです。 他に何かボランティアをしていますか?」と聞かれること。
◆「手話通訳のほかに定職は何ですか?」と質問されること。
◆集会で一人の参加者に「手話を覚えるまでどのくらいの期間がかかりましたか?」と質問されること。
◆集会で一般の人に「手話通訳者は点字が読めますか?」と質問されること。
◆聴衆の一人に「手話通訳者はろう者ですか?」と質問されること。
◆聞こえる人に「手話通訳者がろう者にこのような仕事をするのに、なぜろう教育の教師が必要なのか?」と質問されること。
◆集会で一般の人に「私は手話通訳者、それともろう者に話しかけたらいいですか」と聞かれること。
◆集会で聞こえる人に「手話通訳者は読話ができますか」と聞かれること。
◆集まりで聞いていた一般の人に「ろう者の言うことを読話できますか」と質問されること。
◆手話は世界共通ではなく、国によって手話が異なっている。手話について何も知らない聞こえる人に「手話は普遍的ですか」と聞かれること。
◆集会に参加した聞こえる人に「手話通訳者がろう者のために手話通訳することは本当にすばらしいこと」と言われること。
◆集会で、聞こえる人が突然手話通訳を止めて、「ろう者に私の言うことを読話させてください」と言うこと。
◆集会で一人の参加者に「なぜ手話通訳者になるためにわざわざ手話を習うのですか。他の仕事の方がもっと簡単なのに」と聞かれること。
◆聞こえる人が冗談を言って、それをろう者に手話通訳しないように手話通訳者に言うこと。
◆ろう者に、手話通訳者が通訳するときの手話は早すぎると不平を言われること。ある手話通訳者は「聞こえる人が早口でしゃべっているので、私はそれにあわせて通訳している。もっとゆっくり通訳してほしければ、ろう者がしゃべる速度をさげるようにその人に言ってほしい」と言っている。
◆何年も前にあった本当の話である。手話通訳者は手話通訳者としてでなく、一般の人として集まりに出席した。しかし、手話通訳が必要な状況になったとき手話通訳を買ってでた。集まりで進行役を務めたのは難聴者で、すばらしい発音で話し、手話もうまかった。その間に、彼は手話通訳者が出席しているのを承知して、声に出しながら手話を使うのがとても疲れたという口実に、手話通訳をして欲しいと頼んだ。この気軽な頼みにうんざりした手話通訳者は会場を去って、出席者を唖然とさせてしまった。
◆手話通訳の仕事に関して「手話通訳者は生活を支えるために何をしてしますか」と尋ねられること。
◆手話通訳をしていると、聞こえる人が「私の子供は手話を覚えてクラスで歌を習いました。あなたにお見せしましょう」と言って、とつとつとA B C(Dをとばしたまま)F E と指文字をしてみせた。
◆クライアントは、手話通訳者が人間であり、誤りを犯したり疲れたりして自らを再び充電するのに休憩が必要であることを忘れていること。
◆電話リレーサービスで音声を使う人に対応しなければならないこと。
◆「手話通訳者が手話通訳した場合、だれが手話通訳者に支払いますか?」といつも聞かれること。
◆「手話通訳者はクライアントであるろう者の親ごさんですか」と聞かれること。
◆親の傲慢な態度に機嫌が悪くなった手話通訳者はこう説明する。「知識が不十分なある家族の人が、アメリカ手話、または指文字についてさえ何も知らないのに、ろうの親族とコミュニケーションができると主張するので、それが私をいつも驚かせるのです」
◆手話通訳している間に記憶が抜けてしまうこと。
◆同僚が、絶えず授業中に教師の説明を中断して、落ち着かない生徒をしかるのを見られること!
◆教訓に繰り返して覚えなければならないのは、前夜にパーティーに行ったため寝不足になり、翌朝早くステージで行う手話通訳がうまくできないかもしれないこと!
◆気分を害された手話通訳者はこう言った。「病院が手話通訳者を派遣してもうことを決める前にろうの患者は1週間入院していました。 そのろう者は病院関係者が何を説明していたかすべてを完全に理解しているわけでないのに、いろいろな同意書に署名したのです。さらに、差し当たり、ろう者の母親は、息子が言われていることをすべて読話し理解できると主張していたのです」
◆科学フィクション大会で手話通訳をしている最中、専門的な用語に慣れないろう者に対して手話通訳を続けるために新しい手話を作らなければならないこと!
◆聴取を通訳するために逮捕した警察官の隣にすわる代わりにろうの被告の隣にすわるようその警察官に命令されること。そのため、ろう者は警察館の表情とボディー・ランゲージを見ることができなくなってしまう。
◆聞こえる人たちがろう者に手話通訳が必要だということを理解できない。ろう者には何が言われているかをちょうど理解できるくらいの残聴があるはずだと言ったり、または言われていることを読話でわかるはずだと言い張る人がいること。
◆手話通訳養成課程を履修している学生は、手話通訳は簡単な仕事で、すぐに収入を得られると考えているが、手話通訳とは身体的疲労になりやすく厳しい職業であり、一定の再教育が必要であることを知らないこと。
◆聞こえる人がろう者と手話通訳者のために確保された特別な席に座ってしまったため、遅れて着いたろう者が座れなくなったこと。
◆宴会で思慮の浅いろう者がスピーチをのべ、手話通訳が単なる「声」代わりにすぎないと手話通訳について失礼なことを言ったこと。その結果、立腹した手話通訳は宴会場から去ったため、この軽薄なろう者はスピーチを中断せざるを得なかった。
◆非番の少しの間、完全なアメリカ手話で会話している見知らぬ人のグループにばったり出会い、彼らがろう者だと思ったが、結局手話通訳だったことがわかったこと! ある手話通訳がこうつぶやいた。「私たち手話通訳は、しばしばアメリカ手話で会話することがあるのは知っているが、ろうだと思っていた他の手話通訳たちが私たちと同じ聞こえる人だとわかるのはあまり好きではない!」
◆テレビ電話リレーサービスを使う人の態度。通話の内容が秘密とされているのでウェブカメラの正面で不適切に装ってもいいと思う人がいること。
◆一般の学校で学んでいる生徒のために手話通訳をしているとき何をすればよいかわからないこと。つまり、手話通訳だけすればよいのか、または教師に言われたことを教えてから手話通訳するのか。
◆ろう者が、派遣された手話通訳者に約束した打ち合わせを忘れるか、または無視すること。
すさまじいほど手話通訳したのにろう者に感謝されていないこと!
◆テレビ電話リレーサービスで手話通訳していると、ろう者の不衛生な習慣が目立つこと。たとえば鼻をほじくったりする、など。
◆スポーツに関して少しも知識がないのにもかかわらず、一般高校でスポーツをしているろうの生徒のために手話通訳するように頼まれること。スポーツ用語がまったくわからないと手話通訳ができない。
◆テレビ電話リレーサービスの使用で、ろう者が適切な装いをしていないときに立腹する手話通訳者は「スクリーン全体を見る代わりにろう者の手に強制的に視線を合わせなければなりません」と言った。
◆一般の人がろう者のために通訳するという高貴な仕事を絶えずほめていること。立腹した手話通訳者は「ろう者のために手話通訳するのが、私たちの仕事です。仕事をするたびにほめてもらう必要がありません」と言った。
◆同じ単語を意味する異なったサインを比較した後に、「手話は間違っている!」と同僚に怒られること。
◆テレビ電話リレーで適切に装わないろう者に対してやむを得ず対応しなければならないこと!
◆ろう者に感謝されていないと感じること。ある手話通訳者が「私は病気になってしまい、頭痛がありました。数日間の朝、ベッドで寝違えたまま起床しました。それでも手話通訳をするために現場に着くと、立腹しているろう者にいびられたのです」と話した。
◆地方の手話を理解する際にテレビ電話リレーサービスを利用しているろう者に苦しめられること。手話通訳者は「アメリカ国内から呼び出しを受けているが、いろいろな性格、さまざまな手話スタイル、異なった単語を意味する異なった手話に対処しなければならない」と言った。
◆ろう者がテレビ電話で、名前、背景、問題など家族のことについて議論し、手話通訳者が彼の話していることを知っていると思いこんでいる。手話通訳者は、その家族について何も知らないが、会話をできるだけおだやかにしようとしなければならない。
◆あまりに多くのテレビ電話リレーサービスの呼び出しをうけて手話通訳をすること。1日あたり最大50通の呼び出しで実際にだれも対処することができないほど多い。
◆電話リレーサービスにおける業務でストレスがあること。一回のシフトあたり最大10時間、休憩なしで呼び出しに応じるために、絶え間なくさばいて仕事をこなす場合があること。
◆医院で検査を受けているろうの患者のために通訳している最中、医師に聞かれたこと。「病気のために生きるのに時間がわずかしかないと彼女に言わないでください」。いらだった手話通訳者は検査の後に「医師がある医療情報を差し控えたいなら、なぜ通訳してほしいと頼むのか」と言った。
◆集会で一般参加者が手話通訳をしてくれたことを非常に感謝すること。手話通訳者は「それは仕事なのです。稼いでいますから」と不平をもらすのだった。
◆一般の人が、手話に関して何も知らないと自ら認めていながら、「下手な」手話通訳に関して不平を言う度胸があること!
◆一般の人が手話はわからないと正直に言ったが、話し言葉を手話に置き換えて伝える手話通訳方法を批判していたこと!
◆現場研修ワークショップに出席した、何もわかっていない聞こえる人が「私は、手話通訳者がホームで手話をしているのを見かけます。手話通訳者はろうですか。それとも聞こえますか」と聞くこと。
◆現場研修ワークショップに出席した、何も知らない一般の人が「皆さんがこの研修ワークショップで通訳することで、本当にこの内容に関して大いに学んでいると思います!」と言ったこと。
◆手話通訳を見ていた一般の人は、手話通訳者が手話を使うのでろう者だと思いこんだ。立腹した手話通訳者はその人に話しかけて彼を当惑させた。
◆講演者に、自分のコメントのいくつかを差し控えていたと非難されること。「私はあなたが私の言ったすべてのことを通訳していなかったと気付いた」
◆手話通訳者を絶望的なほど必要としている学区は、通訳謝礼を支払う金額を誤って伝えること。何も知らない手話通訳者は謝礼としてこの"最高の金額"を受け取るが、のちにこれが「蜃気楼」だったことがわかる。
◆聞こえる人が「私たちには手話通訳が必要ではありません。ろう者とは問題なく互いに通じ合っています」と言うこと。
◆聞こえる人がろう者の前に、手話通訳者に「私は直接手話通訳者に説明しますから、私が何を説明したかをろう者に説明してください」と言うこと。
◆ろうのクライアントは、手話通訳者が派遣依頼に応じて打ち合わせに来ることを知っていた。しかし、手話通訳者を見て驚き、「手話通訳者はだれですか。なぜここにいるのですか? 私はあなたを知りません」と言った。手話通訳者が派遣の依頼があって来たのだと説明したのにもかかわらず、ろう者は依然と同じ質問を繰り返した。
◆聞こえる人がろう者を前に、手話通訳者に「ろう者は私の言っていることがわかりますか」と聞くこと。
◆ソーシャルワーカーと、養親と養子のろう児との話し合いで手話通訳していたときのことである。ソーシャルワーカーが、ろう児の面前で養子問題について議論していたとき、養子だったとその子どもに言わないように手話通訳者に言ったのだ。手話通訳者は、ろう児が養子だったことを通訳しないことを決めたが、ソーシャルワーカーには(内緒で)、ろう児に知って欲しくなければ、今後の話し合いで養子問題をださないことだと説明した。ソーシャルワーカーは謝った。[注]アメリカでは手話通訳者がその場で言われたことをすべて忠実に通訳しなければならないことになっている。
◆ある人が手話通訳者に「手話通訳の仕事って、ストレスに全然関係がないので、私はこの仕事をしたいと思っている」と話したので、手話通訳者は「へー!?」と返事した。
◆クライアントのそばで、クライアントの悪口を手話通訳する必要があること!
◆アメリカ手話が知らない人のために、外国語で手話通訳するよう依頼されること。
◆クライアントが、ろう者は耳がきこえないため話せないと手話通訳者に「警告した」が、立腹した手話通訳者は「ろう者には声帯があります。 耳が聞こえないから話せないということではありません」と言った。
◆心配した手話通訳者によれば「法学部のろう学生が受講しているクラスで手話通訳しているが、教授がADA、雇用、差別など、ろう者に影響する障害問題について一度も議論していない」。
◆1人の手話通訳者によると「私の仲間に、衣服と背景に気をつけていない手話通訳者がいる。 明るい色の背景に明るい色の衣服を着ると、ろう者には手話通訳者の手話が見えにくくなる」。
◆「ろう文化は何ですか」と絶えず尋ねられること。手話通訳者は「いつもそのような無知な質問に答えるのに飽きている」とつぶやいた。
◆クライアントが、通訳謝礼に関する公認団体による2時間の最低料金について、直接に支払いと関係しない手話通訳者と言い争うこと。
◆「私は彼がろうであることを知っていますが、彼は普通ですか?」と言って「正常」とろうを間違える聞こえるクライアントに説明したりして、いつまでもこのような質問をさばくこと。
◆立腹している手話通訳者によると「人々が、私が手話通訳者であるとわかると、私が点字も知っていると推測する。 思ったよりよくあることです」。
◆一般学校の教室で、ろう者(deaf)を言うつもりで別の言葉を言った子どもの声を聞いたとき「死者(dead)」を通訳しなければならなかったこと。立腹した手話通訳者が言うには「聞こえる子どもたちが「ろう」(deaf)を意味するとき、発音をまちがえて「死者」(dead)と言ったとき、だれもその誤りを正していない」。
◆ある手話通訳者は憎しみでなく、愛をこめてこう言った。「重大な医療的状況で、患者であるクライアントのために通訳することを依頼されました。クライアントが個人的にしてほしいことを言ったとき、私は本当に、出産か、またはことによると死のような人生の場面まで許されるのが名誉なことだと思っています。それは関わりのある人たちにとって非常に感情的な場合があるからです。」
◆アメリカ手話を知っていると手話通訳者に言う人は、アメリカ手話でどう表すかと聞かれたとき、即答できず考え込んだりすること。
◆「手話通訳という仕事について、聞こえる人、ろう者に感謝されるのがうれしいです。私はロボットでなくて、私の仕事で感謝されるのはうれしいのです。感謝するのは必要ではありませんが、人間として私を認めていることなのです。」
◆クライアントのろう者がどのようにしえ耳が聞こえなくなったかとよく聞かれること。
◆「流暢な公認手話通訳者、ステージで手話を」という新聞記事の見出しに立腹したある手話通訳者は「公認された手話通訳者はすべて流暢であるべきです。スペイン語を話す移民が流暢にスペイン語を話すという記事はないでしょう」と言った。
◆ステージで歌を通訳できるようにステージマネージャーと言 い争わなければならなかった。手話通訳者が「ステージ全体にわたって走る」と誰かがマネージャに言ったのだ。立腹した手話通訳者は「『芸術的に解釈して踊るダンサー』と『芸術的な手話通訳者』との違いがわかっていない」と言った。
◆手話通訳者として認定されておらず、倫理規定を是認するのに関心を全く持っていない他の手話通訳者に対応しなければならないこと。(交流イベントでろう者と談笑している間、クライアントの個人的な問題に関して口を閉じ続けることだ)
◆苛立った手話通訳者はこう言った。「ろうの十代の子供たちがキュード法で話すので、それを通訳するのが困難だ!」
◆ろう者とコミュニケーションするのが難しいという聞こえる人の苦情に耳を傾けなければならないこと! 手話通訳者は「ろう者のために手話通訳する目的で私がここにいるのに、聞こえる人はなぜそのような不平を言うのでしょうか」と言った。
◆肌の色か民族的背景に基づいて手話通訳者を選んでいるろうのクライアントに、手話通訳者が「通訳技能を証明する機会をお願いします!」と言った。
◆手話通訳者の苦情の一つに「片方の人がろうであるなら失礼であってもかまわないと思う聞こえる人がいること!」
◆手話通訳者はこう言った。「話し手が汚い言葉を使って、どのように手話通訳されるのかを確認するために、すぐに手話通訳者を見ることがあるので、その禁句を通訳しないことにしている。」
◆手話通訳者を聞こえる観客が「手話をしている人」(signer)と呼ぶこと。
◆聞こえる人に、手話で何を言っているのかを『想像できる』ように手話で文章を表現してほしいと頼まれること。
◆学級担任に利用されることについて手話通訳者に聞くと、「私は手話通訳するために来ている。先生がちょっと教室を離れている間、資料をコピーしたり生徒を監視したりしない」との説明だ。
◆手話通訳者が手話通訳の合間にろう者を批判するようなことを言ったことについて、立腹した同僚は「この手話通訳者は気分転換が必要らしい」とつぶやいた。
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