1588票差で普天間移設反対派の候補者が当選した。その結果、普天間基地の辺野古移設は極めて難しくなった。一地方の市長選挙が日米同盟関係を揺るがし、国の安全保障政策全体を振り回す結果になっている。犬が尻尾を振るのではなく、尻尾が犬を振り回しているのだ。
国の安全保障に責任を持たない外国人になぜ参政権なのか
国民保護法の執行についても同じ懸念がある。武力攻撃事態等において、国民の生命・身体および財産の保護を図ることを目的としたこの法律は、地方公共団体等の協力なくして機能しない。自衛隊の訓練についてもそうだ。
周辺市町村長の同意なく日米共同訓練や演習、あるいは夜間飛行訓練さえ実施できないのが実情である。今や地方政治と国政は切り離せない。地方参政権だから問題ないとは決して言えない。
日本の安全保障に責任を持たない外国人が地方から日本の国防を揺るがす。これは決して杞憂には終わらない。十分にあり得ることである。
法案推進派は、永住外国人は少数だから選挙権行使をしても影響がないとも主張する。これも大きなミスリードである。今後、日本の安全保障は南西地域が主正面になるが、戦略的要衝である日本の最西端、与那国島を例に取って具体的に考えてみよう。
与那国島は人口約1650人の日本最西端の島、台湾から111キロの国境の島である。石垣島から124キロ、沖縄から450キロ、尖閣の南西約150キロの距離にある。自転車で3~4時間で一周できるような小さな島であるが、2000メートルの滑走路を有する与那国空港がある。
与那国島は中台紛争における203高地
自衛隊はまだ駐屯していないが、台湾海峡と指呼の間にあり、台湾海峡有事の際には、極めて重要な軍事的位置を占める。例えて言えば、日露戦争における203高地*1に匹敵する戦略上の潜在的要衝なのである。
2009年8月に実施された与那国町長選挙では619票で現職町長が当選している。2006年9月の町議会選挙では定数6人中、1位当選が213票、6位の最下位が139票だった。議会の絶対多数3分の2の4人を当選させるには700票もあれば十分である。
もし中国がこの中台紛争版の203高地とも言える与那国島を合法的に奪取しようとすれば、外国人参政権を使って容易に手中に入れることができる。与那国島に約1000人の在日中国人を移住させ住民登録をさせれば、中国寄りの町長、議会をつくることはいとも簡単だ。
中国寄りの傀儡政権をつくり、独立宣言をさせれば合法的に中国は与那国島を手に入れることができる。あとは独立国保護の美名の下、人民解放軍を派遣し、与那国空港を拡張して戦闘機を配備すれば、台湾海峡の制空権は一挙に中国側に移る。
*1=日露戦争における最大の激戦地が遼東半島にある旅順を巡る攻防だった。堅固な要塞に守られた旅順を日本軍はなかなか落とせず、屍の山を築いたが、要衝の地である203高地を落としたことで戦況は一変し、ロシア軍の撤退に結びついた
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