マツダ工場暴走事件で、広島県警に殺人未遂と銃刀法違反容疑で逮捕された同社の元期間社員引寺(ひきじ)利明容疑者(42)=広島市安佐南区上安2丁目=が時速60キロ程度で工場内を暴走し、歩道を歩く社員を無差別にはねた疑いが強いことが23日、県警合同捜査本部の調べで分かった。
さらに関係者への取材で、事件前日には車内に包丁を準備していた疑いが強いことも判明した。捜査本部は、引寺容疑者が強い殺意を持って犯行を計画していたとみて、殺人容疑を視野に調べを進める。
捜査本部の調べでは、引寺容疑者は同日午前7時半ごろ、マツダ本社宇品工場(広島市南区)の東正門から車で侵入。同工場とマツダ本社地区(広島県府中町)の7カ所で計11人を次々とはね、同7時42分ごろ本社地区の北門から逃走した疑い。
捜査本部によると、引寺容疑者が時速50〜60キロ程度で蛇行運転しながら無差別にはねたとみている。亡くなった浜田博志さん(39)=東広島市高屋町=を含む被害者の多くが工場内の歩道を歩いており、7カ所の現場にはブレーキ痕は残っていなかった。
捜査本部は23日、浜田さんの遺体を司法解剖。死因は後部から強い衝撃を受けたことによる延髄断裂で、ほぼ即死状態だった。工場内で走行したのは約10分間で、距離は約9・3キロだったという。
一方、知人男性によると、事件前日の21日深夜、引寺容疑者が訪ねて来て悩みを相談した。その際に「刺そうと思う。車の中に包丁がある」と切り出したという。犯行に使用した車の運転席のドアポケットから約18センチの包丁が見つかっている。
捜査本部によると、引寺容疑者は「包丁を振り回してやろうと思った」「秋葉原(無差別殺傷事件)のようにしてやろうと思った」などと供述しているという。
捜査本部は23日、引寺容疑者を殺人未遂と銃刀法違反の疑いで送検した。
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