宮崎県の家畜伝染病「口蹄疫」問題で、西都市の農家が国の早期出荷対策に従い、一部の牛を感染発生地帯の都農町内にある食肉加工場に搬入後、農場に残っていた牛に感染が発生していたことが24日、分かった。
山田正彦農相は同日、県庁で記者団に「(出荷に使ったトラックの)完全な消毒にぬかりがあったかもしれない」と述べ、トラックが加工場と農場を往復する過程で感染が飛び火した可能性を認めた。
国は、発生農場を中心に搬出制限区域(半径10-20キロ圏内)の家畜を早期に食肉処理して「緩衝地帯」をつくり、感染拡大を防ぐ対策を決定。このため5月31日には、都農町で感染が発生して以降、操業を停止していた食肉加工場を特別に再開させた。
県などによると、同区域にあった2農家は国の対策に従い、6月1、2日、県から運搬を依頼されたトラックで計数十頭の牛を工場に出荷。ところが10、13日、2農家に残っていた牛が発症し、計600頭が殺処分の対象となった。ウイルスに感染した牛が発症する期間は、1週間から10日間とされる。
一方、山田農相は殺処分対象の計約27万6千頭のうち、残っている感染・感染疑い分の約4500頭について「今日中に処分が終わるだろう」との見通しを示した。
=2010/06/24付 西日本新聞夕刊=