遊説に使う自転車に消毒薬を散布する運動員(画像の一部を加工しています)=24日午前9時48分、宮崎市、金川雄策撮影
出陣式の会場入り口では、集まってきた支持者らの足元に消毒液を噴霧していた=24日午前8時39分、宮崎市内、金川雄策撮影
自前の「選挙カー専用消毒車」を用意して出陣式会場を消毒する運動員=24日午前7時23分、宮崎市、金川雄策撮影
家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)の被害が続く中で公示を迎えた宮崎選挙区(改選数1)では、各陣営や選管が感染拡大の防止に気を配り、選挙活動を自粛しあう異例の展開になった。
宮崎県では11市町に口蹄疫が発生、感染抑え込みのため、15市町で家畜などの移動制限区域が設定されている。
宮崎市内の神社で出陣式をした候補者は第一声で早期終息を訴えた。陣営ではトラックに消毒液タンクと噴霧器を積んで遊説の自転車や選挙カーに同行。文字通り「クリーン」な選挙運動に努めるという。この日も出発前、マスク姿の運動員が候補者の自転車に消毒液を吹き付けてみせた。全県を回るには移動制限区域を通過するのは避けられない。「選挙カーが通った後に発生したら、なんて言われるか」と陣営幹部。
別の陣営は、発生地の川南など6町全域と宮崎市など4市の一部地域で、掲示場へのポスター張りをやめた。多数の運動員が地域に出入りすれば、ウイルス拡散の恐れがあると判断した。地域の支援者の協力が得られれば、ポスターを郵送し、張ってもらう。
県選管も「握手の自粛」や「選挙カーからなるべく降りないこと」などを要請。各陣営とも発生地域では被害農家に配慮して、遊説や候補者名の連呼を避けるという。
一方、畜産農家は複雑だ。宮崎市の男性(61)はワクチン接種した牛の殺処分に毎日あたってきた。「これ以上感染が広がらんことが何より大事。選挙は頭に入っちょらん」
移動制限区域で牛の出荷ができない宮崎県西都市の繁殖牛農家の女性(48)は「私たちの話をしっかり聞き、口蹄疫対策や十分な補償を実現してくれるならば、どこの党かは関係ない」と話した。