大相撲の野球賭博問題で、警視庁は23日までに、大関琴光喜(34)=佐渡ケ嶽部屋=から賭博の口止め料名目で約350万円を脅し取った疑いがあるとして、恐喝の疑いで元力士の古市満朝容疑者(38)の逮捕状を取った。所在確認を急ぎ、発見でき次第、逮捕する。
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古市容疑者は、野球賭博に関与していた阿武松部屋の現役力士の兄で、元幕下力士。今月、大阪府の実家に電話し「恐喝はしていない。心配いらない」と話したという。
警視庁は、琴光喜から被害届の提出も受けており、恐喝事件を契機に、暴力団との深いつながりが指摘される角界の野球賭博の全容解明を目指す。琴光喜については常習性が高かった可能性があり、関与の度合いを見極め、書類送検など立件の可否を判断する。
捜査関係者によると、古市容疑者は昨年12月、琴光喜側が野球賭博の「勝ち金」500万円の支払いを阿武松部屋に所属する現役力士に求めた際、口止め料を琴光喜に要求。約350万円を脅し取った疑いが持たれている。
古市容疑者は現金を受け取った後も、ほかの複数の人物とともにさらに1億円以上を要求した疑いがあり、警視庁は古市容疑者の背後関係も調べており、恐喝未遂容疑でも立件する。
こうした要求を受け、琴光喜はことし3月の春場所中に古市容疑者と交渉。この際は、琴光喜から事前に相談を受けた大嶽親方(元関脇貴闘力)が同席した。一緒に車で現場に向かった時津風親方(元幕内時津海)は話し合いの場には出向かず、佐渡ケ嶽部屋の関係者と2人で車で待機していたとされる。また、別の暴力団関係者も交渉に加わっていたという。
琴光喜は、数年前から、胴元との仲介役だった阿武松部屋の床山(29)を通じて野球賭博をしていた。日常的に高額な賭け金で賭博を繰り返したとみられ、数千万円の「負け金」を抱えていた。警視庁は阿武松部屋が野球賭博人脈の中心だったとみている。